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4人の絆
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ナギはゼルに毒針で首元を指されて倒れた。
意識を失ったナギは、この世の終わりのような真っ暗な世界で再び夢に出てきた葉瑠と出会う。
「ぼく、もっとあなたのこと知りたいです。お話もたくさんしたい。だから、どうか死なないで……。」
「葉瑠……なのか。まともに会話もできなかったな……」
「いや……おれはまだ死ねない! おれにはレオを守る使命があるんだ。あと、葉瑠……お前と仲良くなりたいから!」
ナギが力を振り絞って起き上がると、目の前にレオと勇、それから葉瑠もいる。
「ナギの意識が戻った! よかった……。」
目を覚ましたナギにレオが抱きつく。
「ちょ、乗りかかるな! 痛いぞレオ! それにしても、どうしておれは助かったんだ?」
「葉瑠くんが倒れてるナギを発見したんだよ! あともう少し発見が遅れていたら、ナギの持ってきた毒消しの薬が効かなかったかも……。」
「そ、そうか、お前が……。でもどうしてあの廃工場なんかにいたんだ?」
葉瑠はもじもじしながら答えた。
「あの……実は後を着けてまして……。どうしてもナギさんとお話してみたくて、一度家に帰った後また勇さんレオさんの家に赴いたんです。」
「でも既に住まいへ戻ったと聞いたので、諦めてまた帰りました。その途中ナギさんが荷物を持ってどこかに向かうのをたまたま見かけたので、こっそりと……。」
「そしたら、例の廃工場に辿り着きました。ぼくは怖くて薄暗い工場の中には入れず、ナギさんが出て来るのを待っていました。でも、出てきたのは眼鏡をかけた大人の方で……嫌な予感がして、勇気を出して工場の中に入りました。」
「奥に進んでいくと、ボイラー室で倒れてるナギさんを発見しました。すぐにスマホでレオさんと勇さんを呼んで、3人でここまで運びました。」
ナギは葉瑠の素早い発見により、一命をとりとめた。
「そうか……。ありがとう。意識が朦朧としてる時にお前の声が聞こえたような気がしたけど、あれは幻聴じゃなかったんだな。」
ナギに自分の声が届いていたことを知った葉瑠は、照れながら答える。
「は、はい……! 自分の気持ちを声にだしちゃいました。あ、あの……ちょっと恥ずかしいです……。」
ナギは屈託のない笑顔で、葉瑠に言った。
「おれもお前と仲良くなってみたかったんだ。照れ隠しで敢えて冷たい態度取っちゃってごめんな。葉瑠、改めてよろしく。」
「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
二人のどこかぎこちなくて、初々しい付き合い始めた恋人同士のような会話を聞く勇とレオは、お互いの顔を見合せて微笑んだ。
「さっきまでナギの意識が戻らなくて絶望的な雰囲気だったけど、乗り越えて葉瑠とも打ち解けて、なんかめでたいな。よし、今日はみんなでなんかうまいもんでも食べに行くか。」
「ちょっと勇、ナギは目を覚ましたばかりなんだよ? 安静にしてもらわなきゃ。」
「いや、おれはもう大丈夫。それに毒で体力めちゃ持ってかれたから、たくさん食わないとな。勇、よろしく頼む。あ、もちろんゼルのやつがどこに行ったか分からないから、できるならこの家でパーッとやる感じで頼む。」
みんなで勇の家でご飯を食べることが決まり、
留守番をレオとナギに任せ、勇と葉瑠で近くのスーパーへ買い出しに出かける。
道中、久しぶりの人間同士の会話が始まる。
「葉瑠くんよかったな。ナギと仲良くなれそうじゃないか。」
「はい! でもとてもかっこよくて素敵な方なので、目を合わせるだけでドキドキしちゃいます……。でも、慣れるように努力します!」
「はは、お互い気張らず行こう。後、もし危険な状況になったらすぐに待避してね。君みたいな素直で真面目な子を巻き込む分けにはいかないからさ。」
「お気遣いありがとうございます。でも、ぼくの初めての友達はレオさんなんです。そして、勇さん、ナギさんと……みんなぼくにとって大切な存在なのです! だからできる限り力になるって、心に誓ったのです……!」
勇は葉瑠の真っ直ぐな決意の前に、反対する意見など思い付かなかった。真摯に受けとめて、自分自身もみんなを支えてあげることができるように努力しなければと思った。
「よし、スーパー到着! 焼肉やるんだったよな。 他に飲み物とかデザートとか好きにかごに入れていいからね。」
「すいません。お金無くて……。本当にご馳走になっても大丈夫でしょうか? 」
「気にしなくていいよ。これでも社会人の端くれなんだ。これぐらい余裕さ。」
二人は焼肉の材料をはじめ、お菓子やジュースなどたくさん買って帰宅すると、ホットプレートを準備して待っているナギがいた。
「早かったな二人とも。焼肉ってやつをやる時はこれを使えばいいんだろ? レオに教えてもらったんだ。」
「ありがとう。で、そのレオはどこに?」
「ああ、あいつ奥で爆睡してるよ。きっと気疲れだろうよ。今回はおれのせいだから、起こすのも悪いからしばらく寝かせてやろうと思って。」
「そっか……。あいつナギの意識が戻るまでずっと冷静に見守っていたからな。本当は内心すごく心配でどうにかなりそうだったのかもな。」
事実、レオはナギが生還したことに安堵して、体の力が一気に抜けて寝てしまったのだ。
焼肉パーティーはレオが自然に起きてから開始したため、夜遅くからになってしまったがとても盛り上がった。
ゼルを逃がしてしまったことで、今まで以上に危険な状況となってはいるが、この日、4人の絆は強まった。
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