アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
1
-
この世は、俗にオメガバースと言われている。
「ヘルプ、ユミィ~。」
「何よ、ミホォ~。」
七月後半。期末考査期間、真っ只中。
とある高校の二階。1年C組の教室机の列前後の女子達が話し出す。
「次の保健体育あんじゃん??あれのさ、男女とは別の、三種の性別ンとこがわかんない…。」
「えっ!?この世界に生きておいて、ミホ何言ってんの??」
「う~ん…。βはわかるんだけど…。」
後ろの席にいた、ミホという女子生徒は、ずるずると机に突っ伏していく。
「…そら、ミホ自身がβだからっしょ??βは、発情期現象がなく、Ωフェロモンに惑わされても理性で押しとどめられるもんだから。」
「でも、残りの二つ、やけに情報量多くなぁ~い??今日の三限までに、全世界のαとΩ、消滅してくれない??」
「いや、種による生態系なんだから。αとΩに罪をなすりつけちゃダメでしょうよ。」
待って、と前席の女子生徒が細くて薄ピンクのシャープペンシルを自身の筆箱から取り出してきて、後席の机上に開いていたノートに何やら記しだす。
「簡単に教えると…。αはすっごいカリスマなの。種族的に秀でているのね、これは。α全体における特徴の一種であって、多分例外もあるかもなんだけど…。このαが、次に説明するΩフェロモン“ビーム”に当たると理性が死んで獣になる。この一時的な発情期がヒート。」
「ケダモノ…。」
「もう手がつけらんない。暴力的になるらしいね。お~、こわ。」
二人して、二の腕に左右の手を交差して、自身を抱く。
「この超悪役Ωフェロモンを流している根源がΩ。」
「設定てんこもり、Ω。」
「そう。…このΩっつぅんが、三週間くらいかけてαにとっては大天敵のフェロモンの元を身体に貯めてしまう。そして、一週間かけて発散する。これを発情期というわ。…で、大体の人口比率は、β>α>Ωになるわね。」
なるほど…、と後席の女子が首肯してみせる。
「…Ω自身は悪くないけど、特性…発情期で周囲に大迷惑かけちゃうから鼻つまみ者か。」
「そう。近頃は抑制剤…フェロモンの発散を抑える服用する“薬タイプ”と、発情の鎮静化と避妊薬を兼ねた“注射タイプ”が出ているし。Ωも社会復帰ができているわけよ。あと、番って方法もあるし。ちゃんとした相手を見つければ、諸々の症状は落ち着くもの。」
「えっ。ユミちゃん、番ってWHAT…??」
キョトンとしているミホの声をかき消すかの如く、始業のベルが派手に校内に流れ出す…。
_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 146