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嶋の頭に、近頃よく世間で話題になる単語が浮かんで…口をついて出る。
「すッ、ストーカー…。」
一瞬にして、空気が凍てつく。…エプロン姿の紫が手にしているお盆の上には、平皿が一つあり、そこにはこんもりとみじん切りの玉ねぎ、ネギ、青じそ、そぼろ状の卵…。隅にちょこんとワサビが乗っていた。
…じとっとした半眼になっても、紫はお盆を落とすほど取り乱しはしなかった。
「…何やら血迷っている御様子だから教えてやるけど、僕はアンタの周囲を調べたわけではないからね。僕だって、アンタと同じ男なんだから、サイズくらいは即わかるっての。」
「でも…。お前、はるかに他と比べて細いじゃん。」
「アンタと体格が似ている友達くらい、僕にだっているもん。」
そこでようやく、嶋は口ごもった。相手のムッとした様子に、仕方なく手を合わせる。
「あ~、ごめん。なっ、なんか変な誤解しちまって…。」
相手はお盆の中身を食卓に置いて、目前の…麺つゆが置かれていない席につくと、腕組みしてみせた。
「…別に。これから一緒に住んでいくんだし、お互いあまり干渉せず、穏やかない過ごそうよ。せっかくの夏休みなんだし。」
(涼しい顔しやがって…。)
奥歯をギリギリと噛みしめる嶋を横目に、相手は続ける。
「…お腹は空いてない??素麺くらいで申し訳ないけど、汗かいたろうから水分補給のついでに食べなよ。」
紫に勧められ、αの学生は席につく。
種類と量、共にたっぷりの薬味を麺つゆに入れて、準備万端。勢いよく、麺を啜る。もごもごと口を動かしてから…嶋はようやく正面で仏頂面をしている相手に気づく。
(…か、感想を言わないから、Ω様はご機嫌斜めなのか??)
「うまいよ、紫。これ、お前が作ってくれたの??サンキュ。」
精一杯嶋が微笑んでみせると…相手はちょっぴり、身を引いた。表情は相変わらず鉄仮面だが、気のせいか、口元がちょっぴり緩んで見えた。
「作ったと言っても、大したことはしていないよ。麺を茹でて、薬味用意したくらいだからさ。…嶋は、自炊をしないのか??」
「ん~??ほっとんどしねぇな。家事全般、おふくろに任せっきり。」
紫は鼻先で笑い飛ばす。
「…流石、ダメα。」
言われっぱなしの嶋ではない。気色ばんで、ちょっと身体を前に倒す。
「…なに??」
「だから、そういう血気盛んなのはもういいよ。溜まってんの??…これだから、下半身直結型のαは…。」
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