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自分の茶を啜って、紫は束の間の休息を得たらしい。卓の下、華奢な両脚をぷらぷらと上下に揺らして、同居人の喰いっぷりを頬杖をつきながら緩々と眺める。
「み、見られると喰いづらいんだけど。」
「そぉ??」
小首を傾げて、紫は続ける。
「…脳みそ筋肉のαは、やっぱり食べっぷりが違うな~って思って。ああ、いいよいいよ。おかわりしなよ。空腹で犬死されても困るし♪」
頬を緩める紫に、相手はうぐと押し黙る。ひしひしと肌が全力で訴えるこの感じ。
(冷遇されているとしか思えない…っ。…こいつ。やっぱり、オレのこと好きじゃねぇのかよ‼?あの賭けの提案、一体何だったわけ!?)
悶々としながら箸先を咥えていると、じゃあと紫が小箱を取り出す。自然と、嶋は箸先を口から離していた。
「薬…飲むんだ。」
胸に去来する違和感。…仮に紫が自分に惚れているとしたなら、目の前で見せつけるかの如く、薬を口にはしないだろう。
「ん??…そりゃあ、飲むよ。言ったはずだよね??“嶋とは番にならない”って。」
「まあ…。あの…。」
(ええ、確かにあなた様は言いましたけどぉ‼)
嶋は目前のΩの狙いが、さっぱりわからない。発言の意図が読めない。建前と本音が見破れない。…結論。
(Ωって面倒くせェェェ~~~ッ‼)
内心七転八倒するαの目の前で、紫は昼間相手に見せた箱の中身を水で流し込んでからごくりと喉を鳴らした…。
風呂は、嶋が先に入った。狭めのバスタブだが、一軒家の浴槽より小さいのは必然かもしれない。ゆったりと湯に浸かって、出る。荷解きを終えたので、自分が持って来ていた着替えが用意できた。灰色のジャージを身に着け、ダイニングに向かう。
扉を開けると、リビングの床に正座して、口を半開きにして洗濯物を畳みつつ、テレビを鑑賞している紫がいた。器用か、と胸の内でツッコミつつ、声をかける。
「…風呂、上がったぞ。」
「あ、うん…。」
どこか夢見心地で答えた紫だったが、こちらを二度見したかと思うと、ズカズカと接近してくる。ガッと嶋の両肩を掴むと、焦った様子で詰め寄ってくる。
「ごめん、嶋‼僕、嶋の分のシャンプーとかリンスを用意するの忘れていて…。…もしかして、僕の使った??」
「え??いや…。家から小さいボトルに移し替えて、おふくろが幾つか持たせてくれたから。」
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