アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
23
-
(しっかりしろ、オレ‼…とりあえず、鍵の問題はひとまず置いておいて…。)
(ってか、何でぐっすり眠りこんでいたオレが目覚めたんだ??薬を飲んでいない紫が、短時間の発情期に襲われて、オレを誘惑しにきたって線も十分ありでは??)
拳の底に手のひらを打ち付けて、うんうんと首肯した嶋は…やがて、ベッドに沈没する。
(…違う。紫は昨日、オレの目の前で薬を飲んでいた。っつか、そんなタイミングよく短時間の発情期がくるΩがいるかよ、このご都合主義頭がァァァ~ッ‼)
ベッド上でじたばたしていると、こんこんと平坦なノックの音がした。身体を持ち上げつつ、平静を装って嶋は答える。
「お、おう。…おはよう。起きているから。」
「おはよう。昨夜はよく眠れたかな??」
紫の声は、いつでも落ち着いている。
「あ、はい…。」
思わず敬語で返してしまう、嶋だった。
「…朝食、用意をしている。僕、嶋を待っているから。良かったら、冷めない内に来て。」
「あ、ああ。サンキュ。」
「…うん。」
気のせいか。嬉しそうな返事がしてから、扉向こうの足音が遠ざかっていく。嶋は布団を抱えなおすと、しょんぼりと項垂れる。
(あぁ~んな尽くしてくれる同居相手に、こぉ~んな夢を見てしまうとは…。)
ショックで、嶋はしばらくその場を動けずにいた。数分後、彼は下半身を見て一言。
「…とりあえず、トイレ直行だな。」
七月第四週の日曜日。
「…紫、きっと嶋に好意があるんだよ。」
木津に言われ、嶋は口にしていたペットボトルのジュースを吹き出しそうになる。
「いや…っ、ないないないッ‼」
手のひらを左右に振る嶋に、木津は難儀そうに腕組みして見せた。
嶋、市川、木津…。α三人組がやって来たのは、市内のゲームセンターだった。辺りにはハコ体から流れる効果音やBGMが合わさり、自然と爆音になっている。ヘビースモーカーな常連客でもいるのか。空調が肌寒いほど効いたゲームセンター内は、どこかタバコ臭かった。
ゲームセンター内で喋る三人も、耳が遠くなったのかと思うくらい大声で喋っていた。現在は、市川がガンシューティングゲームをやっており、意味もなく大声で喚き散らしながら、偽物の銃でゲーム機の画面に映るゾンビを片っ端から仕留めていく。二人は後方で、のんびりと話をしていた。話題は、嶋と紫の同居進捗についてだ。…夢の内容は、除いて話した。
今朝、きちんと背後に回り込んで確認した。…紫は項に首輪を巻いていた。噛み痕がついているとは到底思えない。紫自身にも瞳を合わせて問い詰め、『キモい』という不評を貰った。
_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 146