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雑誌から手を放し、紫は卓上に頬杖をつく。
「嶋は、僕と一緒にご飯を食べるより、この雌達を眺めていた方がいいの??」
「言い方ァッ‼ちょ…っ、やめてやれよ、雌って…。」
ぷくっと頬を膨らますと、紫は相手からファッション雑誌を引っ手繰る。
「あ…っ。」
「とにかく、これは没収。嶋には不要だから。」
「はァ!?っつか、没収してどうする気だよ。」
ファッション雑誌を掴む手に力を入れ過ぎたか。メリィ…ッと表紙が大きく歪む。身じろぐ嶋に、同居人は一言。
「火葬か土葬かで悩んでいるけど。」
「屠る前提で話をするなよ‼」
嶋は息を一つついて、最後の足掻きを試みる。
「…それ、市川のだから。」
「えっ。…ああ、市川君の物だったのか。早く言ってよ、嶋。見て。表紙が曲がって、ページにも穴を開けちゃったよ。」
「モデルの顔ダイレクトにな。」
返せ、と手を伸ばし、嶋は雑誌の奪還に成功した。一方の紫は、片頬に手をあてて喋り続けている。
「…まあ、どちらにせよ、嶋にはちょっと早いものだよね。」
「…オレをよく見てくれ、紫さん。オレはアンタと同い年で、そりゃR指定でも何でもない。」
他に何もなかったろうな、と嶋がページをペラペラと捲っていると…ある見開きに目が奪われる。
「…お~い、紫ちゃん。」
「え、なに??…同じ手には引っかからないよ??」
嶋はファッション雑誌のページを大きく開いていた。…内容は、男子一週間着回しコーデ、である。紫は顔面いっぱいに『胡散臭い…』という表情をしていたが、ある一点に焦点があうとそれきり黙ってしまった。
「…うん??あれ、紫ちゃん??」
(もしかして、やっぱそっち系なのか、紫ちゃんさん‼?)
パニックに陥っている嶋を横目に、同居人はモデルの一人を宙で指さして感想を口にする。
「その…木曜の人、嶋に似ているね。」
「え…っ??」
「…かっこいい。」
呼吸を忘れる嶋を知ってか知らずか、同居人は無体な追い打ちをかけてくる。
(えええぇぇ~~~‼?)
嶋は一人、硬直する。…最早、部屋中に良い匂いがする二日目のカレーどころの話ではない。
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