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数分後。
「…Ωと同居、しかも賭けねぇ~…。」
足を組んで半眼で睨んでくる担任に、嶋は丸椅子の上で正座になり、深々と頭を垂れる。
「すんませんッ‼…この件は本当、他には内密に…。」
「阿呆。バラすわけなかろう。…バレれば、その場にいなかったとはいえ、賭けの実態を知らなかった俺にも、とばっちり来るんだぞ…。」
そこまで言って、浅葱は嶋の両肩をがっちりと掴む。ゆっくりとではあるが、間近に迫ってくる劇画タッチの顔に、生徒はひっと悲鳴をあげた。
「いいか??…絶対に面倒起こすんじゃねぇぞ、嶋ァ…。紫がデキ婚にでもなろうものなら、親御さんからクレームがわんさか来るに決まっている…っ‼高校の名も地に落ちる‼いいか、嶋。これは信用問題なんだっ‼」
「わかッ、わかりましたから、センセ顔近い‼顔、近ェッ‼」
説教どころではない生徒だった。
おおそうか、と浅葱が離れた頃合いを見計らい、嶋は人生相談を持ちかける。
「…ってか、オレだって紫とどうこうなるつもりはありませんよ‼紫、一体どういうつもりであの賭けを提案したのか、さっぱり…。」
「はァ!?」
教師はたちまち、頭を斜めにする。
「…お前さんが好きだからだろ??」
「じゃあ、告白してくればいいじゃないですか‼…そりゃ、男同士だから躊躇するんだろうけど、オレだって別に偏見とかねぇし‼」
ばっと顔を上げて、嶋は教師に真向から物申す。
「オレは紫が告白してくれるんなら、きちんと答え返すし‼誠心誠意、対応してやるよ‼」
「…んで、断るんだろう??」
浅葱に一蹴され、嶋は口を噤む。
「噂は聞いたぞ。お前、毎日色んな女子から誘われているそうじゃねぇか。…でも、浮いた話は一つもなし。…何て断っているんだ??」
「…べ、“勉学”に集中したいから。」
けっと、教師はそっぽを向いて笑う。
「…赤点回避ランク帯が何か言ってら。」
無言で深く俯く嶋に対し、浅葱はゆるりと腕を組む。
「…いいか??紫は頭がいい。学年首席だし、それはお前が百も承知だろう。」
こくり、と不良生徒は首肯を示す。担任が続ける。
「そんな紫が、お前を好きになった。正攻法なら、告白すればいい。…でも、紫は違った。お前に賭けを提案した。…何故だか、もうわかるよな??お前が、正攻法では攻略できない人間だと気づいたからさ。」
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