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「あ、ああ…。そうだな。」
急いで嶋が上半身を起こすと、膝枕をしていたΩはそそくさと廊下へ駆けていった。
嶋は大きな伸びを一つして、ソファーにくたりと横たわったまま、独り言を漏らす。
「…戦況、圧倒的不利なんだけど。」
嶋は、いつの間にか涙目になっていた…。
気づけば、夢の幕はすでに上がっている。嶋のベッドの淵に、紫が物憂いげな背中をして座している。彼は続けて、するりと首元から首輪を取り去った。
『…嶋。』
軽く押し当てるだけのキスは、綿あめの感触がする。数分すれば、唇に感じた忘れがたいはずの温かみは死人の肌みたく冷めきっている。
視界の隅。壁を蠢く影が、発情に駆られた獣の如くこれ以上ないくらい浅はかに嶋の瞳に映る。
『ねぇ…わかるでしょう??嶋…。お願い…。』
魚が水にかえる様そっくりに、若々しいΩの肉体が男の褥へと吸い込まれていく。刺激の強すぎる匂いに、鼻を押さえるαの口からは制御しきれない熱い吐息が漏れだす。
『…お願い。噛んで、嶋。』
髪をより分けて、すっかり従順なフリをしたΩが、操を表す項を晒す。獣は低く唸り、ごくりごくりと懸命に涎を飲み下す。匂いに理性は蕩け、中から剥き出しの本性が覗く。
『僕を噛んで、アンタのモノにして。』
嶋は背後から獲物に抱き着く。狂おしいほどの呻きが溢れてやまない涎が、彼の禁断症状を決定づけていた。
(Ωの肉の奥に、ぶち込んで熱いのぶっ放す…。ヤりたい、ヤりたい…。欲しい…ッ‼)
ぎゅっと瞼を閉じて、嶋はよい匂いのする裸の項を口に含む。ちゅ、ちゅ…っと優しく吸い上げると、感度の高い獲物が身震いしてみせる。獲物の反応に嶋は悦んで、抱きしめる腕に力を込めた。やがて、獲物はしどけない嬌声を漏らし、嶋に身を預ける。
(噛みたい、噛みたい、噛みたい…ッ)
嶋の両目から、涙腺が壊れたかの如く、ツーと涙が出てくる。涙は獲物の項に落ちていく。Ωの項は、嶋の涙と唾液に塗れ、濡れていく。
『…めん。』
夢の中のはずなのに、嶋の思い通りに唇が動いた。
『ごめん、ごめん、ごめんなさい…。紫…。』
泣き出すと止まらなくなって、嶋は天井を仰いで両手で目元を覆う。
『ごめん、ごめん、本当にごめん。』
一度、堰を切ると、謝罪の気持ちは風船みたいに大きく膨らんでいく。
『オレが悪い。オレが全部悪いから。紫にこんな真似させて。オレは背負う覚悟もねぇ癖に。』
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