アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
80
-
渋々了承する嶋に、同居相手は畳みかける。
「発情期の兆候かもしれないから、嶋はあんまり僕に近寄らないで。」
「…そ、それは確かにそうだけど…さ…。」
嶋は意を決して…食卓に片腕をつき、空いた手のひらを対岸にいる同居相手の額に触れた。
「…え。」
一瞬、茫然とする紫に同居人は説明する。
「…熱、ないよな。うん。」
「ちょ…っ。何すんの!?」
そこでようやく、同居人の動きを察した紫がひよっと避ける。嶋は相手に触れた手を今度は自身の額に押しあて、頷きを繰り返す。
「いや、紫ちゃんが言う通りだけどさ。でも、それって同居している意味あんまなくない??せっかく一緒に住んでいるんだぜ??…助け合おうよ。一日中ベッドに根付いて苦しんでいる奴を一切心配しないとか、オレ絶対に出来ないから。紫ちゃんが言っていたルールにも、あったでしょう??隠し事はなしで。何かあったら、遠慮なく言ってよ。…オレも言うから。」
あの最高潮に思春期のつまらん極みと化した夢以外は、と嶋は心の中で呟く。彼の本心を知らず、かぁっと頬に朱を滲ませ、紫はぷいとそっぽを向く。
「…うっさい。」
小声の反論は、同居人には聞こえなかった。
「えっ??何、サンキュー??いやいや、どういたしまして。」
「…嶋、わざと聞こえていないフリしてない??」
紫は、疑念の眼差しを同居人に対して向けた…。
覚醒した嶋は、ほとんど反射のように部屋を見渡していた。嶋の寝室は、真水に満たされているかの如く、剥き出しの肌に触れる空気全てが冷たく厭わしかった。
嶋のベッドの淵に、Ωが俯き加減に腰かけている。彼は続けて、音もなく首元から首輪を取り去っていく。
『…嶋。』
触れるだけの口づけを、今夜の嶋の肌は執拗に求めていた。一瞬の温かさを貪り喰うかの如く受け取ろうとする。朧気ながらも、体感が室温の低さを認めているからか。紫の温もりを妙に意識していた。
『ねぇ…わかるでしょう??嶋…。お願い…。』
鼻腔に、直で届く匂いの効能は著しい。人肌がベッドの中に滑り込まれる。すぐ隣に、噎せるほど甘く香しい麗人が横たわっている。
『…お願い。噛んで、嶋。』
髪を分けて、若いΩが美しい項を差し出す。嶋の限界はとっくに超えていた。だが、鬩ぎ溢れる野生を抑え込んでいた理性がΩの洗練された匂いに勢いを削がれていく。
_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
80 / 146