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『僕を噛んで、アンタのモノにして。』
紫の上にふわりと若いαの肉体が覆いかぶさる。紫の項を映す、αの視界が涙で濡れていく。
(Ωの肉の奥に、ぶち込んで熱いのぶっ放す…。ヤりたい、ヤりたい…。欲しい…ッ‼)
(噛みたい、噛みたい、噛みたい…ッ)
(犯せ、孕ませろ、この肉の奥に…‼)
涙が止まらない。開いた唇が、行き先を見失って大きく戦慄く。天を仰いで、若いαは息を詰まらせながらも懸命に喘ぐ。
(限界だ…っ‼)
(抑えきれない。このままじゃ、紫の項を噛んじまう。)
(オレには許されないのに。許してはいけないのに…っ‼)
夢の中だからいいとか、そういう問題ではない。嶋の厳格な理性が許可を出すはずがない。
恋愛は成人してからだ。大人として、きちんと自己責任を負えるようになるまで…ハリボテの恋愛は、自分も相手も傷つけると知っている。
(ゆ、かり…。)
(にげ、て…。ゆか、り…。)
口が一段と大きく開け放たれる。光沢ある白い肌…項に、嶋の牙がかけられた。
(やめろやめろやめろ、やめてくれぇぇぇ~~~っ‼)
若いαの歯は、肌を突き破り、中からドッと血が流れ出す。…嶋は、代わりに噛んだ自身の腕を茫然と見つめていた。
「しま…ッ‼」
ベッドにいた、もう一つの影が素早く動いた。寝室に電気が灯される。視界が一気に明るくなる。嶋はぽかんと口を半開きにしていた。
(頭が…追い付かない。)
パジャマ姿の紫が、同居人の患部がある腕をとって、涙に頬を濡らしている。思わず、彼に手を伸ばした。
「ゆかり、ちゃ…っ‼」
「ごめんなさい‼」
紫は、αに見せた記憶がないほど痛々しい表情で泣き続ける。
「やっぱり…こんなの変だよね。上手くいくわけがなかったんだ。」
「ゆか…っ??」
名を繰り返そうとして、嶋は唐突に理解した。寝室を満たす甘い毒の匂い。Ωのフェロモン。
全身の毛穴が開く。恐怖で、Ωから離れたいと後退しようとして、ベッドから見事に落ちた。
「嶋っ‼?」
「来るんじゃねぇッ‼」
怒号が、部屋の空気をビリビリと震わせた。嶋は寝ぼけた視界で前髪を掻き上げる。
(一体…何がどうなっている‼?)
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