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「理絵ちゃん。このシャンプー、どうしてΩ用なの??」
「えっと…。」
黒川は人差し指を顎にあて、しばらく考え込んでいる様子だったが、へらっと苦笑してみせる。
「…くッ、詳しい効能までは…わかんないです。」
「・ ・ ・だよね。」
目を点にしていた嶋だったが…確かに自分が今使っているシャンプーの特徴を逐一覚えているかというと甚だ疑問が残る。美容関係に興味があれば違うだろうが、生憎、嶋はその手の人間ではない。また、中学生の黒川に対して言えば、シャンプーの効能を空で言えるより試験でいい点をとれた方がいいに決まっている。
がっくりと肩を落とす嶋を見かねてか。黒川は彼の片腕をとり、ぐいっと引っ張った。
「…でも、私、パッケージとか名前は覚えてます‼」
「え。」
話の着地点が見えてこない男子高校生に、黒川は鼻息荒く詰め寄る。
「だから、売り場に行けば詳しい効能がわかります‼」
「あ、ああ…。」
「行きましょう、嶋さんっ‼」
大声で言い終えると、黒川は嶋の腕をとってズンズンと早足に駆けだす。
「ま…っ。自分で走る‼走るから、理絵ちゃん‼」
裏返った声をあげつつ、この時嶋は気づかなかった…。
シャンプーの効能など、嶋の持っているスマートフォンで簡単に検索できる、という事実をすっかり見落としていた…。
数時間後。嶋は、黒川と共に商店街を歩いていた。買い物が入ったビニール袋を手からぶら下げて、嶋は心ここにあらずといった目をしていた。
嶋の横で、黒川は上機嫌だ。鼻歌まで奏でている。
「嶋さん、カフェでお昼ご飯を奢って下さって、ありがとうございました。」
「いや…。別にいいって。」
黒川は、嶋にくっついて歩く。歩きにくいほど纏わりついているのに、嶋は真顔を崩さない。
「私、家族以外の男の人とお洒落なカフェで食事するなんて、初めてでした。デートみたいでしたね♪」
へへ~っと微笑んでいた黒川だったが、急にハッと顔を引き締める。
「すっ、すいません‼…嶋さんには、そういうお相手がもういらっしゃるんでした。あの、気分だけです‼だっ、大丈夫です‼これは浮気じゃないです、嶋さん‼」
「あ~…。…うん。」
表情をコロコロ帰る黒川と違い嶋は始終煮え切らない顔をしている。黒川は小首を傾げる。
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