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「下手なおべっかとか、いらないから。」
「な…っ」
絶句する嶋の胸に顔を寄せ、Ωはいじらしく囁く。
「それより、早く…僕を抱いてよ。」
「…~っ」
嶋は耳元で爆音みたいに鳴り響く自分の鼓動を聞きながら、相手の唇に自身の口を押し付けるだけのキスをした。相手の唇の感触が、ふんわりと返ってくる。瞳をうっすらと開くと、ぐっと両目を瞑ってぷるぷる震えながら耐える、紫の姿があった。
(…紫ちゃんも、緊張している。)
ゆっくりと唇を離しながら、嶋は胸の奥がきゅっと苦しくなるのを感じた。二人が裸で付き合う、初めての夜だ。例え、二人の間に愛がなくても、どちらも自然体でいられるわけがない。
「ゆっ、紫ちゃん。」
額同士が擦れ合うほど至近距離で、嶋はごくりと喉を鳴らし、相手を真向から見据えた。瞳に宿るのは、揺るぎない決意。
「…なに。」
紫の僅かに開いた唇から、熱い吐息が漏れ出る。嶋は、視線を固定したまま、切り出した。
「…ミネラルウォーターのペットボトル、キッチンから持って来ていい??」
紫は後方に引っ繰り返って、ベッドに半身を埋める。嶋は急いで、人差し指をピンと立てて理由を列挙した。
「だ、だってさ‼今、口パッサパサだし、その…行為後とかもっと汗だくだろうしさ‼人間、水分が必要な生き物じゃん‼?だからさ…。」
「…いいよ。」
紫は上半身を持ち上げると…相手の右の太腿に手を這わせ、艶然と微笑む。
「…その代わり、帰ってきたら僕の好きにしちゃうんだから。」
嶋はどこかぎくしゃくとした動きで立ち上がりつつ、気弱な声をあげた。
「…てッ、手加減、頼むわ。」
五分もせずに帰ってきた嶋がミネラルウォーターのボトルをキャスターの上に置くと、ほぼ同時に相手にベッドへと押し倒される。
「う…っわ‼」
吃驚して叫ぶ嶋に小さく微笑んで、Ωの身体が彼を組み敷く。スプリングが苦しげに唸る。
「はい、好きにした。」
ちゅっ、とわざと音を立て、紫は相手の額に口づける。嶋は、たったそれだけの相手のモーションで、頭がいっぱいいっぱいになる。嶋に馬乗りになった状態で、小悪魔なΩは小首を捻ってみせる。
「…じゃあ、今度は嶋の番。僕を好きにしていいよ…??」
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