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(そら、セーフティだっつってんのにゴムを裂くとか悪事に決まって…。…でも、平身低頭謝ってくれたら、仕切り直しも視野にはあったはずなのに…。)
嶋は、再び思考回路を戻す。
(だが、ここで三人目の紫ちゃんが出てきた。オレの秘密を知っていた紫ちゃんだ。)
『しッ、嶋が悩んでいるのって、どーせさっき会っていたβかαの女の子のことでしょ??色恋沙汰で騒音被害出さないでくれる??』
『…それでも、男でΩの僕は、嶋の恋人にはなれないんでしょう??』
嶋は低く唸る。思考が酷く苛まれ、身体は疲労感でいっぱいだった。
(…考えろ。今のオレには、紫ちゃんの像が酷く曖昧でちぐはぐなものに思える。まるで、頭はオレの秘密を知っていて、上半身はオレに恋をしていて、下半身ではオレ以外でもいいαととにかく交わりたいと考えているキメラみたいだ。)
嶋はゆっくりと瞬きを繰り返す。
(オレが紫ちゃんから奪い取れる情報は、もうすでに出ている気がする。…冷静に考えてみれば、あの学年首席小賢しいΩがオレに本音を打ち明けているわけがない。ヒントは与えていても、確信をついている言動は一切していないと踏んでいいはずだ。)
(…なら、大事なのはきっかけになった“賭け”のルールと紫ちゃんの行動なんじゃないか。)
(“賭け”のルールは、紫ちゃんが妊娠することがネックになっていた。勝利条件は、勝者が敗者を一度だけ好きにできる権利。…待てよ。そもそも、どうして紫ちゃんはこんな“妊娠”にこだわっているんだ??)
嶋の脳内にある靄が少しずつ、晴れてくる気がした。
(…紫ちゃんの最終目的が妊娠だった、という点について可能性は皆無とは言い難い。何故なら、“夜這い”が“番”目的ではないと証明された今、“夜這い”は本来の意味…。夜伽に誘うための方法だったとストレートに考えられるからだ。加えて、最後の夜の避妊具にわざと細工した件も納得できる。後の無茶苦茶な言い草、“αなら誰でも良かった”という話もとってつけたものだと見なしていいだろう。ぶっ飛んだ考えだけど、これまでのどの考えより整合性がある気がする。…今までの話を纏めると…。)
嶋は腕組みして、頭を垂れ、一心に考える。
(…紫ちゃんは、妊娠するために生でヤんねぇと意味がなかった??)
いやいや、と嶋は空中で片手を左右にひらひらと舞わせる。
「αがヒートになった場合の繁殖力は無敵だぞ。最後の夜、紫ちゃんだって発情期を終えたばかりで、オレだってヒートにはなってなかったし…。…妊娠の確率なんて、本当に奇跡みたいな数字しかなかっただろうが。」
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