アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
142
-
いいや、と緩く頭を横に振って、嶋は改まって口を開く。
「…紫薫さん。」
名を呼ばれ、紫が顔を上げる。嶋はΩの唇に恭しく口づけた。唖然としている木津の前で、嶋は言う。
「オレと…結婚を前提にお付き合いして下さい。」
「…ぇ…??」
瞬きを繰り返すΩの頭を撫でて、嶋は彼を抱き寄せる。
「…紫ちゃん、だめ??」
嶋は相手の肩に顎を乗せて、甘く囁く。すると、初心なΩの両耳が途端にボッと赤くなる。小さな肩がひくひくと揺れるのを見て、嶋はΩが全身で自分の声に酔いしれているのを感じた。
「だ、め…じゃないッ‼だめじゃない、けど‼」
目を白黒させて、紫は思い人に詰め寄る。
「しッ、嶋が好きなのはツインテールのβかαのあの子じゃないの‼?」
「…え??」
今度は嶋がキョトンとする番だった。思い出して、ああ、と口元を綻ばせる。
「…あの子は、中学生。それに、お前と同じΩだよ。」
「え??…チュウ、ガクセイ??僕と同じ…Ω??だ、だって首輪が…‼」
ははっ、と朗らかな笑い声をあげて、嶋はΩと額を擦り合わせる。紫はぼうっと相手を見て…我に返ると、すぐさま視線を彷徨わせる。どうやら、すぐに自分の気持ちに素直にはなれないらしい。
「…なぁ~に思い込んでんだよ、オレバカのΩ??」
嶋が問い質すと、相手はびくりと大きく身体を揺らした。辛辣にするのもされるのも慣れているせいか。紫は甘やかされるとどう反応していいか、わからなくなるようだ。
「うっさい…。」
小声で反論されるが、目元に赤が滲んで色っぽい表情までは嘘がつけきれていない。
「…ほら、泣き止んだ。」
腰に手をやる嶋に、同じく地面に座り込んだ木津がツッコミをいれる。
「いや、泣き止んだってレベルじゃねぇだろ。」
「うん??」
木津を視界に捉えた嶋が、眉を顰め、思いっきり人差し指で示す。
「ああっ‼っつ~か、大和‼お前、オレに紫ちゃんが好きとか一言もなしで抜け駆けとかズルいだろっ‼」
「あ、忘れていた。」
_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
142 / 146