アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
144
-
「…じゃあ。」
αとΩ。二人の視線が交差する。嶋の手が緊張して細かく震える相手の腕をとる。
「…オレ達も、祭り楽しもうか。」
嶋がニッと笑いかけると、Ωはぎこちなくも泣き笑いの顔を返した…。
射的にヨーヨー、たこ焼きに綿あめ…。
「ってか紫ちゃん、家出ていく前夜、オレと一緒に隣り合って寝たじゃん。…どうして、あの時は襲ってこなかったの??」
「…冗談はやめて。夜這いはあくまで、“嶋が勝手に妄想を膨らました夢の中の破廉恥な僕”がしたんであって、現実の僕がそんなはしたない真似するわけないしッ‼」
「でも、翌日にはオレに抱いてくれって土下座して頼んでますケド…。」
屋台を巡る途中に、二人は今までの賭けについて裏側を語る。
「あっ、あれは…。嶋があのツインテールの…理絵??さんと親しげにしていたから…。」
「オレとしては、何故そこで理絵ちゃんがオレの決めた恋人だと思うかがわからねぇんだけど…。」
「嶋は、ずっと男女交際は二十歳からって言っていたから。二十歳から好きな人を選ぶのか、すでに決まっていて相手に二十歳まで待っていてって伝えているのかどっちかだなって勝手に考えていて…。つい、追い詰められていたもんだから…あの子がその将来の相手なんだと思いこんじゃって…。」
二人は少しずつ、誤解と言う名のこんがらがった糸の塊を一本の事実に直していく…。
「ってか、紫ちゃんは賭けに勝ったらオレに何をお願いしようとしていたの??」
「…流石に嶋もバカじゃないから、夜這いでとっかかりを作っても、すぐに自分が何をしたかわかるだろうと思った。発情期中のΩを事故とはいえ、ヒート中のαが襲ったら妊娠の可能性って爆発的に上がるから。僕を抱いた一夜を忘れてくれって。…或いは、妊娠がバレたら一生事実を黙って、僕から離れて暮らしてくれってお願いするつもりだった。」
「妊娠の話、黙っておくわけねぇ~から…。認知するし、付き合いだって考えるっつの。」
どちらともなく微笑むと、感情が伝播していくみたいに、片方も釣られて笑った。一か月の決して楽ではない道のりが、段々と二人の距離を近寄せていく…。
「あ~、あと。紫ちゃんは、もしオレの子を妊娠したらどうするつもりだったんだよ??勉強やめる気??学年首席の二つ名は、紫ちゃんのアイデンティティーじゃないの??」
「何その中学二年生みたいな話し方…。…でも、本当にそうだな。言われて、今、初めて気づいた。」
「へ‼?」
_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
144 / 146