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昔むかし、ある王国に、王子様が生まれました。
王子さまは生まれつきの重い病気を抱えており、外で遊んだり、動き回ることさえ困難な位でした。
王妃と王様は必死に看病しましたが、その努力は虚しく、病気は悪化するばかりでした。
仕事で出張に行っている王様のために、王妃は最善を尽くして王子様を看病していました。
しかし、不運は重なり、元々病弱だった王妃が一日中の看病の疲労で倒れてしまいました。
そして
そして...
.....................
王妃が、亡くなりました。
本当に疲労が溜まっていて、病弱な体が持つわけもなく、静かに息を引き取りました。
この出来事に、王様は深く悲しみました。
そして、王妃を亡くしてしまったきっかけの王子さまを酷く恨むようになったのです。
めでたし、めでたし。
ベッドの上で、寝転がりながら話し終えた。
僕から話を聞いた彼は、少し間をあけてため息をついた。
それは聞き終わった余韻なのか、この物語の結末に呆れているのか。
「...なんとも酷いおとぎ話だね。」
彼はそう呟き、顔を歪ませる。
そんな彼に、僕は思わずクスリと笑った。
「よいしょっと」と言いながら起き上がる。
それに合わせて、彼もまた起き上がった。
「...何?」
彼がキョトンとしているのを見て、僕は薄く微笑んだ。
その表情に、彼は少しゾッとしたような顔をした。
「これは、僕の物語でもあるんだ。」
「...君の、物語?」
彼は少し目を見開いて、意味がわかったように俯く。
「君は王子でもなんでもないんだろ?」
「うん、この物語は少しフィクションなんだ。
そんな重い病気とかもない。
だけど、ストーリーは同じなんだよ。
母が死んで、父が僕を恨んだ。
それだけ」
「ほんとに、それだけなの?」
恐る恐るというように、彼が僕に問掛ける。
「...ほんとにこれだけだったら、こんな傷もないでしょ?」
お腹などにある痛々しい痣のあとを指さしながら、また、薄く微笑む。
言葉を失ったように、彼は何も言わなくなった。
そんな姿を見て、僕も何も言わなくなる。
少しの沈黙の後、急に言った。
「辛かったよ、僕でもあの生活は」
ハッと、俯いていた顔を上げて僕の方を見る彼。
「父から暴力をふるわれ、暴言を吐かれ、自分の存在意義が分からなくなった。」
彼はやはり俯く。
「...って一夜限りの関係の人に何言ってるんだろうね」
そう言ってあははと乾いた笑いをしても、彼はまだ俯いたままだった。
「...どうしたの?」
少し心配になって顔を覗き込もうとする。
だけど、直ぐに顔を上げた。
「今日は、いつも上げる量より多くあげるね。」
少し悲しそうに彼は言った。
「おぉ、やった、でも何?同情しちゃった?」
「いや、多分君は誰かに聞いて欲しかったんだろ?この話を。」
「多分ね。」
「君顔綺麗だし、こんなプライベートなことが聞けて、おじさん特別扱いされてるんじゃないかと思って嬉しくなっちゃった。」
冗談交じりに言う彼に、少し心が落ち着く。
「またのご利用、お待ちしてますね」
僕はさっきの薄い微笑みではなく
本当の微笑みで返した。
身支度を終え、ホテルから出る。
今日の彼、いい人だったなぁ...
おかげで6万も貰っちゃったよ
ルンルンする心と足を抑えて、帰路を進む。
家に着くと、ちりっと腕が痛くなった。
この前切ったとこかな?
気にせずに手を洗って
リビングに入ろうとする。
不意にリビングを開けるドアノブにかけた手を止める。
(……誰か、いる…!!)
人の気配がある……
地獄のような日々で身につけた聞き耳や聞き目は、日常生活で思いの外役立つようだ。
(まさか…泥棒?)
意を決して、ドアノブをガチャリと引いた。
すると、その姿を見て自分の持っていたバックを落としてしまう。
リビングの机にくつろいでいる凪がいた。
「...なんで、いるんです……か」
震える手を押さえながら、後ずさりする。
何故彼がここに?
今日は呼ばれていなかったはず。
なら何故……
僕の頭が疑問と恐怖でいっぱいになる。
そんな中で、いつものように演技などできるわけなく、目の前に怪物がいるかのような顔をする。
「あぁ、ちょっと聞きたいことがあってね。」
そう言って笑う凪は、僕を犯す時と同じような笑みだった。
ハッと気付いてバックを拾おうとするが、凪に取られてしまう。
中にある財布から万札を何枚か取ってピラピラと揺らす。
「とりあえずこれは貰っとくね」
やはりあの笑みだ。
何も言えなくて俯く僕を見て、凪は鼻で笑った。
「ねぇ、久しぶりに会えたからなんかしなきゃいけないよね?」
...そうだ。
凪と会うと、必ずと言っていいほど性欲処理を行わなければいけない。
ゾワっと背筋に嫌な寒さが走った。
近づいてくる凪に合わせて、僕も後ずさりする。
「なんかその態度嫌だな、いつもみたいに笑顔で御奉仕してよ、夏。」
そう笑って、自分のズボンのチャックを開ける。
「ヒッ...」
そう声を漏らすと、凪が興奮した様子で目を細めた。
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