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凪に出会ったのは、父がヤクザから借りた金を返せずにいた頃。
凪はその組長の息子だった。
家にヤクザの人が沢山来て、父を殴り始めた。
そんな中、凪は部屋の隅で脅える僕に目をつけた。
「おい、あいつはお前の子供か」
「っはい、そうです……」
「ふぅん……じゃあこいつと交換だ。」
咄嗟に僕が顔を上げて凪を見つめる。
「っえ……」
「この大事な息子を引き換えに、金の借りはなしにしてやるよ。」
「あ、ありがとうございます……」
この交渉に、父が反対する理由もなく、僕はヤクザの息子と付き合うことになった。
といっても、セフレみたいなものだった。
何故僕なのかと恐る恐る聞くと、凪は「怯えてる姿が小動物みたいで、俺の手に収めたくなったから」と言っていた。
そんな凪に、僕は逆らえない。
借金の件もそうだし、なにしろヤクザだ。
逆らえるわけが無い。
「っ……!」
ぱっと目を覚ます。
今何時かな……と確認すると、昼の12時だった。
いつの間に……そんな寝てたのか。
今日は仕事は休みなので、ゆっくりできる。
すると、さっき見た過去の記憶が起きたばかりの脳に流れる。
「……もうやだ…こんな生活。」
不意に呟いた言葉に、自分の心がぎゅっと絞られるように痛くなり、涙がボロボロとこぼれ始めた。
「ぅっ……うぅ…ヒッ…」
手で拭うが、どんどん涙が流れてくる。
溢れる涙を拭っていると、急に携帯の着信音がなる。
ビックリして一瞬とまったが、すぐに反応して画面を見る。
着信画面には、ゆうにぃと書いてあった。
なんとか涙を止めて、すぐに応答ボタンを押して通話に出る。
「もしもしっ」
『あ、夏〜、久しぶり!元気してっか?』
久しぶりのゆうにぃの声に、さっきとめたはずの涙がまた溢れ出てきそうになる。
「うん、元気だよ、そっちは?、」
『仕事山ほどでさ、忙しい…』
「そっか、大変だね……」
『うん……あっ、別に夏に愚痴聞いてもらおうとしたんじゃなくて…』
「僕でよければゆうにぃの愚痴いつでも聞くよ。」
『ありがと、ほんと支えだよ。』
「ふふ……それで、要件は何?」
『あーそうだ。
あのさ、今度の土日、久しぶりの休日なんだけど、一緒に水族館でも行かないか?』
ゆうにぃの提案にパァっと気持ちが明るくなるが、すぐに萎んでしまう。
「え、でも……」
『あ……もしかして予定入ってるとか…?』
「いや、そういう訳じゃないんだけど……
恋人とかと行かないの?」
恐る恐る聞くと、ゆうにぃは聞かれたのが嬉しいのか、少し楽しそうに言った。
『あー、実はいないんだよな〜。
っそっちはいないの?』
「あ…えと、こっちは」
……凪のことで、いいのかな…
まぁ付き合ってはいるし、いいのかな……
「…いるよ」
『………………』
「…ゆうにぃ?」
『えっ、あ、ごめん。
そ、そうなんだ。どうだ?可愛い?』
「そういう話はまたにしよ?誘い、受け取ってもいい?」
『っいいのか?やった』
携帯からもれる嬉しそうな声に、僕も笑顔になる。
『じゃあ土曜日に⚪⚪⚪駅前に10時半でいいかな?』
「分かった。
久しぶりに会えるの楽しみにしてるね。」
『あぁ。俺も楽しみにしてる!』
すると、電話の向こうから人の声がした。
『ごめん、仕事に戻る。』
「うん。頑張ってね!」
『っあぁ!じゃ。』
プチッ
切れた…
とりあえずお腹すいたな…
1階に降りて、冷蔵庫を開ける。
中にあった牛乳をついで一気飲みする。
「っっは〜……」
飲み終わったあとに、大きなため息をつく。
急にチクッと昨日切った腕が痛み、顔が歪んだ。
「……やっぱり、リスカとか良くないよな…」
そっとそう呟き、大きなあくびをする。
ソファに座って、テレビをつけた。
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