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8(※R18&暴力表現)
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「んぐ……ゲホッ、ゴホっ…」
喉の奥に出され、その生臭さに耐えきれず吐いてしまう。
その様子を見た凪が、椅子から立ち上がり僕の顎をつかみ、グッと凪の顔に近づく。
「おい、なに吐いてんだよ」
「っごめんなさ…」
咄嗟に謝罪の言葉が出るが、凪は容赦なく僕の頬を殴る。
勢いよく殴られた僕の口端からたらりと血が流れていく。
周りの男の人達も、さすがにそこまですることはないだろと慌てふためく。
……この人たち、根は優しいんだな
無理やりヤられてんのに何思ってんだ、と思いながらボーッと凪を見た。
血が少し着いている拳と、冷たい凪の目に、瞬間的に過去の記憶が蘇る。
父の怒号
自分の血で濡れる床
首を絞められた時の苦しさ
全て、全て僕の頭に流れ込んできた。
「っは…はぁ…ひっ、」
「え、どうしたの…?」
男の人たちが心配そうに問いかけてくるが、僕の頭の中はぐちゃぐちゃに混乱する。
「はぁ...はっ...ヒッ...ハァ」
段々と浅くなっていく呼吸に、凪も眉を歪める。
「おい、そんな呼吸で同情誘っても容赦しないからな」
そんな言葉に、ますます呼吸が浅くなる。
「った...すけ...て...はぁ...は...ゆ、う兄...」
その言葉と同時に、バーのドアが勢いよく開かれた。
男の人達と凪は、ドアの方を一斉に見る。
「っなんだ...!」
「よくも俺の友達の大切な人、傷つけてくれたなぁ...?凪よ」
「っ優雅...さん」
凪の顔がサァッと青くなっていくのがわかった。
優雅さんと言われた男の人は、凪に素早く近づき、胸ぐらを掴むと凪を殴り始めた。
男の人達は、焦って非常口から出ようとする。
すると、優雅さんの後ろから着いてきていたスキンヘッドの男の人がその扉を塞いでしまう。
僕は、媚薬と過呼吸のせいで体が上手く動かせなくて、浅い呼吸を繰り返していると
突然、鼻をくすぐる甘い香りに包まれた。
肩に手が乗せられた感覚があり、後ろを見ると、茶髪の男の人が僕の肩に手を乗せていた。
突然の人の温もりにポロッと涙を1粒流した。
突然はっと思い出して、茶髪の男の人にすがりつく。
「っかったー、を...ハァ...くださ...」
やっとのことで言った言葉に、茶髪の男の人は少し困惑するが、ポケットからカッターを取り出し、マフラーを切り始めた。
マフラーを切り終わった時、パッとカッターを奪って、勢いよく自分の腕に切りつけた。
「っちょ!?なにしてんの!」
茶髪の男の人が慌ててカッターを取り返そうとするが、何とか抵抗してもっと深くカッターを切りつける。
しかし体が上手く動かないので、直ぐにカッターを取り返される。
「っはぁ...はぁ......」
自分の流れる血を見て、やっと落ち着いた呼吸に戻った。
それを見ていた茶髪の男の人が、険しい顔で僕の体を見つめる。
落ち着いた頭で、今の姿を思い出して、急いでズボンで自分の下半身を隠そうとする。
すると、男の人に僕の手をパッと掴まれて、咄嗟に払ってしまう。
「...ぁ」
「...とりあえず、風呂に入ろう。
おい、ここに風呂はーーー」
そんな言葉を聞いた瞬間に、目の前がぐらぐらと歪んでいく。
目を閉じて倒れそうになった時、「夏!!」と、ゆう兄の声が聞こえた気がした。
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