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「...で、話ってなんだ」
「あぁ、それなんだがな...
お前、俺が凪のこと殴ってるの見てどう思った?怖かったろ」
優雅の言葉に、さっきの光景が脳裏に浮かぶ。
血だらけの拳で、無抵抗の男の子を殴っていた優雅。
何も知らない人が見ると、絶対にトラウマになるだろう。
だが、何故だか優雅には恐怖心は芽生えなかった。
そう伝えたいのに、優雅が力なく笑うので、口を閉じてしまう。
「...あのさ、俺、実はヤクザなんだ。」
その発言に、パッと目の前の優雅を見る。
「まぁ元…なんだけどな。
親がヤクザの偉い所の人でさ、色んな知り合いがいるんだ。」
(じゃあさっきの大柄の男は優雅の知り合いだったのか)
そう考えていると、優雅が口を閉じて沈黙が流れた。
なにか話さなきゃ、と口を開こうとしたら、優雅が先に口を開いた。
「…前にも、このことをカミングアウトした友達がいたんだ」
そう言い放った優雅の手は震えていて、無理をしているのが直ぐにわかった。
「優雅…」
優雅の顔を見ると、その表情は苦しそうで、なんて声をかけていいのかわからなくなる。
「でも、そのあとその友達が学校にバラしてしまって、クラスメイトからは怯えられた。」
「……」
「…ってごめん、こんな話して。
俺の事怖いよな、ごめ((」
そこまで言って笑う優雅に耐えきれずに、俺は優雅の震えている両手を乱暴に掴んだ。
「っ幸樹……?」
ビックリして俺の名前を呼ぶ優雅。
そんな優雅を気にせずに、もっと力をこめてぎゅっと握った。
「え、ちょ…」
「俺は、怖くなかった。
夏を助けてくれて、本当にありがとう。」
「……え」
そう淡々と告げた俺に、優雅は目を丸くしてポカーンと立っていた。
「だから……」
「これからも、親友でいてくれないか。」
そう言って優雅の目を見た。
すると、優雅の目からボロボロと涙をながしていて……
優雅はその雫を拭うことも無くブンブンと首を縦に振っていた。
「……あり…がと。」
しゃくり声の中、必死に声を出して感謝を伝えた優雅に、こっちまで目元が熱くなり、ポロッと涙をこぼした。
「……こっちこそ、ありがとう。」
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