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1人の時間に。
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その日の帰り道、俺たちは何も言わないまま
ただ肩を並べて歩いて帰った。
その静かな空間が俺にはただ苦しいはずなのに
心地よくて。
コイツと初めて肩を並べたからなのか、いつもより
背が高いように見えた。
家に着くころ山根は俺に小さい紙きれを渡してきた
「それ、おれの番号だから…登録しとけよな」
「はぁ!お前、何勝手に…!」
「じゃーな!」
「待っ…て…!」
山根はいうだけ言ってそそくさと帰ってしまった。
(俺、ケータイ持ってないんだけど…)
この後、これが理由で面倒なことになるなんて
思ってもいなくて
次の日の朝、いつもより目覚めがよく、早く目が覚めた。
(早起きとか久しぶりだな…)
朝食の魚の身をほぐしながらニュースを流し
天気予報の確認をする。
(今日は、雨…か)
「洗濯物、干せねぇーじゃん」
ついため息をついてしまった。
こう見えて俺は家庭的な方だ
掃除もするし、洗濯も料理もする。
得意とまではいかなくても、毎日してる。
俺の家はガキの頃から変わってない。
両親は、忙しい。
海外で活躍をしている俳優の父親と、モデルをしてる母親。
だから俺は母親の妹のまりかさんに預けられている。
でも俺が高校に行くから迷惑をかけないためにも、一人暮らしを提案したところ
反対されるどころか、オッケーを出してくれた。
結局のところ、俺に居場所なんてない。
一か月に一度両親からくる手紙は俺宛のメッセージなんてなくて
余るくらいに封筒に入れられたお金。
寂しくなんてない
ひとりぼっちじゃない。
俺に居場所なんて、なくていい。
(朝っぱらから気分悪りぃ…)
余計なことなんか考えないで
さっさと支度済ませて学校行くか…。
でも、アイツ、いるんだよなー…
それだけでまた気分が重くなった。
少し引きずってしまう足元に力を入れ
いつも通り、登校した。
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