アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
何事も、塩梅(あんばい)がある。
「いい?小夜。踏むときは踵から落とすんじゃなくて、踵を中心に、足先を倒していくんだよ。」
「はい!」
ニュートラルに入れたまま、エンジンを吹かさせた。
「ゆっくり踏む。ゆっくり離す。」
「はい!」
大丈夫かね?
少々不安だが、道路幅の広い工場地帯なら、どうにかなる気がした。
「じゃあ、ブレーキを踏んでから、サイドブレーキを外して。」
「はい!」
良い返事だけれも、本当に分かったのだろうか。
さっきは肝が冷えた。
「優しく、優しくね!」
「はい!」
ギュインとエンジンが空回りした。
「ド、ドライブに入れようね。」
「そうでした!」
あぁ、怖い。
怖すぎる。
車の4面に貼り付けた「注意!ペーパードライバー練習中」の黒のSUVは、ゆっくりと走行をはじめた。
岸壁には、近寄らない。
海に落ちそうな気がしたからだ。
ひたすら、工場地帯を「田んぼの田の字」で回った。
右折は恐怖だった。
反対車線へはみ出しながら走行した瞬間、総毛だった。
「小夜。肩の力を抜いて。」
「抜き方が分かりません!!」
このままでは、命に関わる。
風見は決死の覚悟で、シートベルトを握りしめた。
道路の端に停めさせて、風見は額の汗を拭いた。
「ね、小夜。こっち向いて。」
「はい!!」
緊急事態。
風見は小夜へ、強烈なディープキスをかました。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 343