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美湖ちゃんのお母さんから電話があった。
入院した病院を教えてもらい、美湖ちゃんに電話を代わった。
「ママーッ!」
おれたちと一緒にいるのは慣れているとはいえ、やはり寂しいのだろう。
美湖ちゃんは大喜びだった。
良かった、おれたちがいて。
こういうひとり親が入院した場合、近くに保護出来る人がいなければ、児童相談所が一時預かりをすることになる。
・・・本来なら、他人であるおれたちでもダメなのかもしれないけれど、美湖ちゃんも美湖ちゃんのお母さんも信頼してくれているから、児童相談所が動くことは、今回に限り無い。
知らないところに預けるのは、何となく怖かった。
「ママ、はやくげんきになってね!」
もっとはやく、気付いてあげられればよかった。
小夜は後悔の気持ちでいっぱいだった。
恐らく、無理をしたお母さん自身も、後悔でいっぱいだろうと思う。
「桜井さん、後で着替えと、必要なものを一式持っていきます。何か欲しいものはありませんか?」
細々としたものを頼まれた。
『本当はミシンが欲しいんですけど、さすがに怒られますね。』
「はい、おれも怒ります。」
ふたりで笑った。
『風見さんにもお電話しますね。』
「いえ、おれから連絡しておきます。もう桜井さんは休んでください。」
そうお願いして電話を切った。
そのまま風見さんに連絡をした。
着替え等は準備していることも伝えた。
『分かった。じゃあ、帰ってから持って行ってくるよ。』
やっぱり、車の運転は必要だ。
おれひとりだと、美湖ちゃんとお母さんの荷物を乗せて、連れて行くことすら出来ない。
悔しかった。
ちゃんと運転出来る様にならないと!
お母さんは一泊二日の入院になるらしい。
大事を取って、3日間の休暇を取ったと聞いた。
美湖ちゃんには、桜井さんしかいない。
きちんと休養を取って、元気になってもらわないと。
小夜はお母さんから頼まれたものを揃えながら、早く元気になって欲しいと心から祈った。
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