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無事、合流した風見は、肩車した大吾を床に下ろして小夜に預けた。
一緒に来てもらった篠崎さんにお礼を言うと、持ってもらっていた地球儀とゼリーを受け取った。
「貴志さん、すみません。」
「ちょうど通りがかったからですね。小夜くん、大丈夫?」
小夜は、にっこりと微笑んで頷いた。
「大吾くん、お兄ちゃんはもうすぐ来てくれるからジュース飲んでようね。」
「ジュース?」
「そう、喉乾いてるでしょ?」
到着して、光太郎がいないことに気付いた大吾は泣きそうになっていたが、小夜の言葉に真っ赤な顔で頷いた。
「ワォン!」
「あぁ、それで払えるかな?こっちのカードで払おうね。」
風見と貴志は目をパチパチさせた。
大吾を抱き上げてカウンターへ行った小夜は、決済するのに交通系ICカードを大吾に持たせた。
「ワォン!」
「いいよ、ピッと当ててね。」
ええーーー?!
思わず風見は貴志の顔を見た。
「・・・そっち?」
「はぁ〜・・・奥深い。」
ふたりで唸った。
美湖ちゃんが不思議そうに首を傾げた。
「ワォン!って、さっちゃんもよくしてるよ?」
「・・・そうだねぇ。」
ふたりの食費の多くは、そのカードで決済することが多い。
小夜が犬じゃないと気付くあたり、改めて敵わないと思った。
「じゃあ、俺はそろそろ会社に戻ります。」
「すみません、お手数をお掛けしました。」
会社に戻って行った篠崎さんに風見は頭を下げながら、少しホッとしていた。
以前の危うい感じが抜けていたからだ。
今にも壊れそうに見えた篠崎さんは、今日は生き生きとした表情をしていた。
シンガポールに行ったという憧れの人と、上手くいっているのかもしれない。
風見はさっきまで小夜が座っていた席に座って、時間を確認した。
小夜が予約をした時間は、16時30分だった。
今がちょうど16時。
歌舞伎町は東口から出ないと遠回りになるから、反対に出ないといけない。
忍者屋敷へは東口から徒歩8分。
美湖ちゃんを肩車して行くと考えれば、ギリギリ15分までに光太郎くんが来てくれればどうにかなる。
まあ、どこに光太郎くんがいたかによるよな。
「美湖ちゃん、お腹空いてない?」
「あのね、あのね、クッキーたべたの!」
「へぇ、良かったねぇ。美味しかった?」
小夜が俺にアイスコーヒーを注文して戻ってきてくれた。
大吾くんは、美湖ちゃんと同じ氷無しのリンゴジュースだ。
「にぃちゃは?」
「さっき連絡したから、もう少しかかるよ。」
大吾くんの口がへの字に曲がった。
小夜は大吾くんにそう答えた俺を見て片眉を上げると、大吾くんに改めて話しかけた。
「大吾くん、美湖ちゃんだよ。」
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