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黒羽製薬
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この黒羽製薬は、αである父方の祖父が作り上げた会社だ。
黒羽製薬は、誰もが知る有名な製薬会社に成長を遂げていた。
俺の父はβで、母がαだ。
祖父は、αである母にサポートさせ、βの父に会社を継がせようとしていた。
しかし父は、祖父ほど器用ではなかった。
経営も上手くいかず、祖父と父は何かと衝突していた。
俺がαであることが発覚した途端、祖父の思いがスライドする。
跡継ぎのターゲットが、父から俺へと移ったのだ。
ラボの本館を抜け、2階にある渡り廊下で繋がる別館へと向かう。
別館は、俺の高校入学の祝いにと、祖父が建ててくれたものだ。
離れのように建てられた4階建ての建物。
4階には俺専用の実験ルームと俺の部屋、2、3階は俺の下で働く社員の居住スペース、1階には、応接室やミーティングルーム、申し訳程度の受付もある。
黒羽製薬を大きくするために、祖父は穢いコトにも手を染めた。
薬の開発には、治験が必要となる。
足りない実験材料…人間は、金にものを言わせ買い取り、使えなくなったものは、“切り取り”…臓器売買へと回した。
会社に利益をもたらさない社員も、簡単に治験送りにし、“切り取り”へと回していた。
“切り取る”コト自体、黒羽家の専門分野ではない。
“切り取り”は、医療に特化した暗城(あんじょう)家に委託している。
“切り取り”を担っている暗城家の人間、暗城 吾久(あんじょう あれひさ)は、4つ上の俺の幼馴染みだ。
吾久は、暗城家の両親との血の繋がりはない。
見ず知らずのα同士の精子と卵子を顕微鏡受精させ、暗城家の誰かの腹から産まれた。
暗城家の59番目の子供だから、吾(ご)と久(きゅう)で吾久という名になったらしい。
α同士でも、βやΩが生まれる確率の方が高い。
αではないと判定を受けた子供は、暗城家の名を継げず、男娼、娼婦、小間使いとして働かされ、役に立たなくなれば、“切り取り”に回される。
吾久から依頼された仕事のひとつ、αの精液収集。
それなりの値段で買い取ると交渉を持ちかけられ、小遣い稼ぎ程度にその話に乗った。
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