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ざわつく胸底
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1年と経たないうちに、縁が両親を見限った。
俺と直接的に取引をするようになった。
両親と俺がいくらで取引していたかなど知らない縁に、買取価格を適正な値へと戻し、“お手伝い”の派遣を始めた。
何度となく、縁が“お手伝い”を逃がしていたコトは知っていた。
アルバイト感覚で“お手伝い”の仕事をしたがる人間を送り、放たれても、あえて深追いはしなかった。
黒羽家が所有しているものでない限り、探す方が手間だからだ。
黒羽家の所有…、借金のカタに売られてきた人間は、足首に銀色のアンクレットをつけている。
鍵穴などない、特殊な電磁波で解錠する仕組みのアンクレットには、GPSが埋め込まれ、逃げ出したとしても、直ぐに居場所は特定出来る代物だ。
1年近く、Ωや女を送る度に縁に食い散らかされ、さすがに底を突いていた。
“お手伝い”も無限ではない。
性的サービスだけではなく、身の回りの世話が出きるように調教するには、それなりの時間が必要だった。
βの男で、黒羽家の持ち物である那須田なら、簡単には逃がせないだろうと縁の所へと派遣した。
プライドより命を取るような人間の那須田が、死を選ぶとも思えなかった。
【魅惑の香水】もある。
βの男である那須田でも、なんの問題もないと考えた。
那須田が縁のところへ行き、3ヶ月ほど経った頃。
疲れた顔で、歩く那須田の姿をラボの中で見つけた。
体力的な疲れというよりは、心的に弱っているように見えた。
声を掛ければ、逃げたそうにしながらも、本気で抗ってはこない。
熱を持て余しているような雰囲気の那須田から薫る匂いは、【魅惑の香水】だった。
そこに、混じる縁の匂いは、微々たるものだ。
毎週、決まった曜日の決まった時間に届けられる精液。
黒羽家の製品である特殊なコンドームも使わずに、滅菌処理された小瓶に詰められ届けられる。
抱かれていないのだろうと問う俺に、那須田は否定しなかった。
燻る熱に、いなしきれない悶々とした性欲に、那須田は瞳を逸らし続けていた。
俺に抱かれながらも、ほんの欠片程度残っている自尊心を必死に握り締める姿が、可愛いとさえ思ってしまった。
愛でたくなる感情に、唇を寄せた。
欲に塗れ溶けた瞳が、俺に反発する。
『大事な人のために…、取っておいて』
俺の唇を守る那須田に、胸の底がざわついた。
生意気なコトを口走られ、理性など微塵も残らないほどに、砕きたくなった。
いつかキスをせがむまでに、引き摺り堕ろしてやろうと、飽きがくるほど攻め立てた。
それでも、何度抱いても、那須田は俺に屈するコトはなかった。
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