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鈍感な縁を笑う俺
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那須田を派遣して1年半。
開発していた“鎮静剤”の治験に縁を呼びつけた。
那須田に手を出さないコトが、不思議でならなかった。
αの縁に【魅惑の香水】が効かない筈はない。
例え似非でも、Ωのフェロモンに屈しない縁に、好奇心が擽られた。
黒羽製薬で働くことを薦めてみたが、ばっさりと切り捨てられた。
逆に縁に、なぜβで男の那須田を抱くのかと問われたコトがある。
俺にとって那須田は、愛玩動物程度の存在だった。
愛玩動物が苦しんでいたら、可哀想だと思う程度の感情は持っていた。
だから俺は、身体をもて余す那須田を抱いていた。
俺が那須田を好きだと勘違いする縁に、笑いが堪えられなかった。
縁は、俺が嫌いだからその匂いを纏って帰ってくる那須田に腹が立つのだと、尤もらしい理由をつけた。
だが、そんなのは言い訳だ。
男だから、βだからと、恋愛の可能性を排除する。
人の感情は、そんな単純なものじゃない。
理(ことわり)から漏れたからと、否定するのは妥当じゃない。
理から漏れたとしても、マイノリティだとしても、それは無ではない。
縁は、間違いなく那須田に惚れていた。
自分の感情に鈍感な縁に、可笑しさが止まらなかった。
好きだからこそ、似非のフェロモンに煽られ、適当に抱くコトに罪悪が生まれ、縁は那須田に手を出さなかったのだ。
可愛いと感じても、俺にとっての那須田は所詮、道具だ。
そんな那須田に同調し、物扱いするなと怒る縁に交渉の余地を感じた。
那須田を交渉の材料とし、縁に黒羽家で働くコトを再度、提案した。
最終的に縁は、那須田のためにここで働くコトを了承した。
研究の対象にしようかと思ったが、αの知能を潰すのは勿体無いと考え、今では在宅での仕事を任せている。
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