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友人となりうる運命
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黒羽家にとって邪魔な存在は、“処分”と称し、殺した。
死すら生温いと感じる者には、“リサイクル”と称し実験体として扱った。
俺の機嫌を損ねた腹立たしい存在は、殺して楽にさせるより、生きて地獄を味合わせてやった。
“リサイクル”に回された者は、“処分”された方が良かったと嘆く者も少なくなかった。
父が一番嫌っていたのが、人を物のように扱う裏の仕事だった。
俺は、αと発覚した13歳の頃から、祖父の元で仕事を学んでいた。
主に裏仕事を任されていた俺は、冷酷無比な人間に育っていった。
人と痛みや苦しみを、共有するコトなどできやしない。
人の命の重さは、地位や名誉で決まるもの。
何も持たない人間など、畜生と同じ扱いで充分。
名誉や権威を守るための暴力に、俺はなんの非も感じていなかった。
人を痛めつけるコトにも、殺めるコトにも、なんの罪悪も感じていなかった。
でも、7つ下の妹、妃羅(ひら)だけは違った。
そこらの人間はどうでもいいものとして扱っていた俺も、妃羅だけは大切にしていた。
小さな頃、“お兄ちゃん”と呼ばれ、懐かれるコトに、胸がむず痒かった。
冷たくあしらおうと、声を荒げようと、次の日には、妃羅は俺にまとわりついた。
いつの間にか、守らなくてはいけない者として、その存在が俺の奥底に刻まれていた。
高校1年の頃。
学校で知り合った犬養 艶(いぬかい つや)。
αで、コンピュータ関係に強かった。
さっぱりとした明るい性格の艶とは、何かと話が合った。
高校1年の頃、一度だけ艶が俺の家に遊びに来たコトがある。
急ぎの仕事もなく、妃羅も友達と出掛けると話していた日だった。
馬鹿でかい家の中に、従事する者を除けば俺1人となり、暇を持て余すことが予測された。
新しく手に入れたゲームを見せ、艶を家へと誘ったのだ。
艶に対し、恋愛感情など無かった。
艶も俺を男として、…そういう対象として見てはいなかった。
αである艶は、どちらかと言えば男性寄りの思考を持っている。
出会った頃から、艶と俺は、友人となりうる運命だったのかもしれない。
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