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妃羅を守るための研究
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俺は、黒羽家の力で、そのαに制裁を加えた。
“処分”などと生温い方法ではなく、“リサイクル”に回した。
暗城家が弟分として可愛がっている鬼城家(きじょう)。
医療に向かなかった暗城家生まれの者が、鬼城家に籍を移した。
暗城家が医療に特化した家柄なら、鬼城家は、機械に特化した家だった。
黒羽家で使っているアンクレットも鬼城製だ。
その鬼城家で開発された【去勢チップ】。
陰茎や睾丸を切り落としてしまう直接的な去勢より、精神的に追い込む意図がある。
快楽を痛みに直結させるその方法は、無意識のうちに性的欲求から目を逸らさせる。
延々と繰り返される両極端の感覚で、馬鹿なαの精神崩壊を試みた。
しかしそいつは、意外にも頑丈で、微塵も壊れる気配がない。
叫び喘ぎ狂うものの、数時間後には何事もなかったかのように平然としていた。
そのまま、黒羽のラボに置いておけば、妃羅との再会が予測された。
俺は、仕方なくαをリリースするしかなかった。
もちろん、【去勢チップ】は埋め込んだままだ。
αから解放した妃羅は、脱け殻状態で、入院を余儀なくされた。
妃羅は、暗城家系列の病院に入院していた。
ラボと病院の往復。
その頃、【防散スカーフ】の開発を始めた。
αを惑わせる【魅惑の香水】、Ωを強制的に発情させる“誘発剤”。
10代の前半では、ろくでもないものばかりを開発していた。
フェロモンにあてられ、興奮した神経を沈める“鎮静剤”やΩのフェロモンを物理的に遮断する【遮断マスク】は、吾久の依頼で開発した。
吾久は、俺が16歳の頃に開発した“鎮静剤”をずっと使用していた。
俺たちαは、神経を研ぎ澄ませば、Ωの発情の匂いを嗅ぎ取れる。
ただ、いちいち確認するのも面倒だし、“鎮静剤”では、効果が出るまでにタイムラグがあった。
仕事柄、発情期のΩに接するコトが有りうる吾久は、毎日のように服用しなくてはならない“鎮静剤”を面倒がり、摂取しなくなっていた。
「毎回煽られて、抱いていたら、こっちの身が持たねぇ。そもそも遮断するもん作れねぇ?」
吾久の軽い口振りに、そちらからのアプローチがあったのかと、気付かされ、4年前に【遮断マスク】の開発に取り掛かった。
それでも、何年経っても、フェロモンを完璧になど防ぎ切れない。
それに、世の中の独り身のαすべてが、【遮断マスク】を装着しているわけでもない。
妃羅の、…Ωの身を守るためには、フェロモンの飛散を防ぐものが必要だと感じ、【防散スカーフ】の開発を始めたのだ。
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