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用意された返答は
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「別に、はぁ…そういう訳、じゃないよ」
僕の欲情を煽るように、身体を這い回る男の手。
駆り立てられる感覚に、熱の籠る吐息と共に言葉を零す。
「…僕は発情期が激しくて、薬も効かないから。こうでもしないと生きていけないだけ」
面倒な自分の体質に、自然と眉根が寄った。
男の親指が深い皺を刻む僕の眉間に触れ、それを伸ばそうとするように、横にスライドする。
「オレが、守ってやろうか? オレの恋人になれば、お前のコト、守ってやるよ」
怪訝な瞳を向ける僕に、目の前の男は、うっそりとした笑みを浮かべる。
「番にって、コト?」
歪む顔をさらに顰め、無意識に身体を引いていた。
αに頸を噛まれてしまえば、否応なしに僕は番にされてしまう。
僕の気持ちなんて、お構い無し。
Ωの僕に、拒否権なんて、存在しない。
逃げる僕の身体を追うように、男の顔が近づく。
首筋を目指していたと思っていたその唇は、僕の鎖骨に辿り着いた。
薄い皮越しに、男の歯が骨を噛む。
「ん、………」
痛みよりも痺れるような感覚に、肌が粟立つ。
じりっと焼けるような痛みを持つ噛み後に、滑る舌が這っていった。
ふわりと顔を話した男は、僕の問いを否定する。
「いや。オレ、βだから無理。でも、オレなら、あんたを守ってやれるよ。色んな男とセックスしなくて済むって話」
得意気な笑みを浮かべ、男は首を傾げる。
男の手は、肌蹴たシャツの隙間から素肌に触れた。
胸許を通り過ぎ、背から脇腹へと戻り、腰へと流れていく。
「オレの親父、αで有名な代議士だから。教育委員会にも顔効くし、ここの理事とも親しいんだよね……」
答えは決まっているだろう…とでも言いたげな脅迫じみた言葉を紡ぎ、男は笑みを深くする。
僕に用意された返答は、“肯定”だけ。
ここで否定を選択すれば、僕が退学へと追いやられていただろう。
それに気づいたのは、暫く経ってからだった。
この時点で僕の思考は、溺れていた。
僕の肌を撫で続ける熱く大きな手に、肉欲が煽られ続けていた。
理性は雪のように跡形もなく溶け、本能と欲望だけが僕の思考を支配していた。
身体を撫でる温かな感触が、堪らない。
僕は、男の後頭部に両手を回した。
「もっと、……」
もっと撫でて欲しくて。
もっと触れて欲しくて。
僕は、熱に浮かされた瞳で、男に強情る。
腰を撫でていた手が、足の付け根を辿るように、つぅっと走る。
「オレのものに、なるよね?」
離れていきそうな手に手を重ね、触れてくれとせがみながら、僕は何度も頷いていた。
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