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人違い <Side 駒野
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奥の個室に運ばれる木箱。
あの中には、治験を受ける人が入っている。
…たぶん、暗城家からのレンタルだ。
もしかしたら、もしかして?
暗城家とコンタクトを取っているのは、帝斗だ。
帝斗が来るかもしれないと、オレ、駒野 幻(こまの かん)は胸を踊らせる。
帝斗との出会いは、5年前。14歳の頃。
女の子達が、スーツ姿のイケメンが出没すると噂する公園があった。
真っ黒な装いの中に品があるとか、髪の隙間から見える切れ長の瞳が堪らないとか……。
オレは、どれ程のものなのかと、興味本位で公園に足を踏み入れた。
きょろきょろと辺りを見回しながら、公園を奥へと進んでいく。
「……見ねぇ顔だな?」
スーツ姿ではあるが、イケメンでもないし、頭はド派手な金色で、真っ黒な装いとはかけ離れた男に絡まれた。
頭の天辺から足の爪先まで、舐め回すように視線を滑らせた男が口を開く。
「何が欲しい?」
「……?」
男が何を言っているのかわからずに、オレは首を傾げる。
オレの的を得ない態度に、男はあからさまに顔を曇らせた。
「ハーフパンツにビーチサンダル、手にはスマートフォン。お前だろ?」
ビーチサンダルは、玄関に転がっていたものを引っ掛けて、家を出ただけ。
暑さからハーフパンツを履いていて、スマートフォンを持っているのは、イケメンなら写真撮りたいっていうミーハー心からだった。
「へ?」
男の言葉にオレは、間抜けな音を放つ。
「……ちっ。人違いかよ」
面白くなさそうに眉根を寄せた男は、苛立ちを隠さない声を放ち、言葉を繋げた。
「まぁ、いい。お前が買えよ」
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