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運命という激流が
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「はっ………、」
熱に塗れた熱い息が口から零れた。
助けを乞うように、帝斗のスラックスを両手で握る。
欲望が、心の中で暴れまわる。
……抱いて。
僕を、欲して。
蕩けるようなその温もりを、僕に分けて。
その腿に縋ろうと頭を寄せる僕に、帝斗の手が肩を掴み、身体を離す。
強情る瞳を向ける僕に、帝斗は忌々しげに視線を外した。
「わかっただろ? お前と俺は、………運命の相手だ」
震える手は、帝斗を引き寄せるほどの力はない。
スラックスを掴んだままに伸びきった両腕の間に、顔を埋めた。
αなんて、嫌いだ……。
この世界から消えるか、番にされるか…どちからを選べと言われれば、僕は前者を選択していた。
そう、思っていたのに。
心が、本能が…、欲している。
目の前の存在に、僕の心は奪われた。
運命になんて流されないと思っていたのに。
僕は、まんまと運命に翻弄されている。
母と同じ道を辿っている……。
Ωの本能に屈するしかない自分が…、嫌になる。
両腕の中へと埋めた口から、諦めの溜め息が零れた。
立ち上がっている帝斗の瞳には、僕の頸が見えている。
「噛む? ……僕を、番にする?」
悔しさに、帝斗のスラックスを掴む手に力が入る。
投げ遣りに吐かれた僕の言葉に、帝斗は苛立たしげな声を放つ。
「運命の相手だからと、無理をして俺を好きになる必要はない」
“貴方が好きだ”と言わない限り、僕はその腕の中には入れない。
僕が貴方を好きになるのは、無理なコト…なの?
好きになりたいなんて思っていない。
だけど。
身体が、本能が……求めている。
αを嫌っているクセに、目の前のαに惹かれている。
運命の…、Ωの血が、僕の心を掻き乱す。
身体は目の前のオスを求めているのに、心のどこかが拒絶する。
反する身体と心に、生意気な言葉しか形に出来ない。
「こんな僕が運命だなんて…、最悪だね」
ははっと乾いた笑いが口を衝いた。
本能に流されるコトも出来ず、理性で撥ねつけることも出来ない。
どっちつかずの半端者。
煮え切らない僕の心。
「俺がどう思うか……、お前の善し悪しを決めるのはお前じゃない」
ぐっとスラックスを掴んで放さない僕の手に手を重ねた帝斗に、やんわりと剥がされた。
「薬が効くまで、少し休め」
僕から離れた帝斗は、机の側にある革張りのソファーへと足を進めた。
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