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痺れる腹底
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カラカラと音を立てるその中には、10錠程の錠剤が入れられている。
「帝斗さんから。新しい薬だって」
部屋のテーブルの上に無造作に置かれていた茶色い薬瓶に、自然と視線がいく。
発情らしい兆候もなく、薬は持ってきたままで減ってはいない。
帝斗とは、あれから会っていなかった。
食事の時ぐらいしか部屋を出ない僕と、忙しいであろう帝斗が顔を合わせないのは、なんら不思議はない。
……会いたくなるものなんじゃないの?
薬を届けに来るコトに、どれ程の手間がかかるというんだ。
[運命の番]だというのなら、愛しいと思うなら、隙間の時間を割いてでも会いに来てくれたって……。
ふと、僕は頭を振るう。
まるで片想いに心を焦がしているような自分の思考を否定したくなる。
僕の視線を追った駒野が、茶色の薬瓶に目を留めた。
その横に、新しく持ってきた瓶をことりと置き、茶色の薬瓶を手にした。
「なんの薬?」
―― どくん……どくっ、ドクっ…ドドドドド
ひとつ大きく音を立てた心臓が、急激に速さを増した。
首を捻り、瞳を向ける駒野に、痺れるような感覚が僕の背を撫で上げた。
触れ、たい……。
ぶわりと沸き起こった欲求に、僕の身体は無意識に動く。
薬瓶を掲げる駒野の手首を掴み、ベッドへと引き摺り込む。
「わっ……ぇ?」
腰を跨ぐように座り込んだ僕に、ベッドへと押し倒された駒野は、きょとんとした瞳を向けた。
はぁはぁと、僕の口から熱の籠った息が零れ始める。
何がきっかけとなったのかなんて、わからない。
でも、頭の隅で帝斗の顔がちらついていた。
腹の底が、ぞわぞわとした痺れを訴えていた。
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