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最低なオレ
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霙が目を覚ます頃には、夕方近くになっていた。
「んっ……」
小さな呻き声を立てた霙の瞳が、ゆるりと開く。
寝起きで焦点の定まらない霙の視線を受け、オレの瞳が游いだ。
「あ……っと、その……」
何をどう言えば良いのか……。
ごめんと謝るのも違う気がするが、何もなかったかのように、いつも通り接する技量もオレにはない。
堪らない匂いに、意識が飛んだ。
理性を捨てさせたのは、霙のそのふしだらな香りで。
この顛末を招いたのは霙なのだと、無意識のうちに正当化しようとする自分がいる。
目の前の誘惑に、簡単に靡いた愚かな自分を棚に上げて。
何を紡いでも、言い訳になる。
何を考えても、逃避になる。
申し訳ないと思う気持ちを素直に綴っても、抗えなかった弱い自分は悪くないのだと言いたいが為の釈明にしかならない気がして、オレは口を開けなかった。
「ごめんね……」
発されたのは、霙の声。
申し訳なさげに紡がれたその音に、瞳を向けた。
苦笑染みた霙の顔に、謝られる意味がわからない。
謝らなければいけないのは、どちらかと言えば、オレの方だ。
訝しげな瞳で見詰めるオレに、霙が言葉を繋ぐ。
「僕のフェロモンに、あてられたんだと思う。僕……Ωだから」
わかっていた。
堪らない香りを嗅いだ瞬間に、霙がΩであろうコトは察しがついた。
好きで好きで堪らなくて、我慢ができずに手を出した…と言うわけでもなく。
美味しそうなご馳走の匂いに我慢ができずに喰らいつくように、霙の香りに触発され、その身体を貪った。
腹の底から沸き上がるような興奮に、シたくて堪らなくて、目の前の肉体に溺れた。
Ωでも、ましてやαでもないオレが、理性を踏み潰した本能に、易々と飲み込まれた。
本能の赴くままに、自分の欲を満たしたいが為に、霙を慰み物として抱いたんだ。
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