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帝斗の妹 <Side 霙
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僕はまた、目先の欲に負けたんだ……。
熱く蔓延る性的欲求は、僕の理性を簡単に役立たずへと変貌させた。
節操なんて言葉は疾うに捨てた。
でも、駒野を巻き込んだ。
僕は、駒野の人生までもを狂わせようとしている。
『帝斗さんの大事もんに手ぇだしたんだし、この世から消されても文句言えないよ』
そう言った駒野は、力なく笑った。
僕は、帝斗の大事なもの……?
そんなコトはない。
たぶん、ただ、この目に見えない強力なフェロモンに惑わされただけだ。
拐かされたのは、駒野も一緒だ。
僕のせいにして、自分には非がないと訴えればいい。
悪いのはすべて、僕だから。
このΩの血だから……。
この世から消されても文句は言えないというのなら、駒野ではなく、僕を消し去ってくれればいいのに。
―― コンコンっ
鳴らされたノック音に、瞳を向けた。
「はい」
小さく返した声に、そろりと扉が開く。
ぴょこっと顔を覗かせたのは、柔らかなクリームブラウンの巻き髪の女性だった。
「初めまして。私、妃羅。帝斗の妹で、あなたと同じΩなの。少し話がしたいんだけど、いい?」
首を傾げて見せる妃羅を、部屋の中へと促した。
柔らかな笑みを湛えた妃羅は、お邪魔しますと僕の部屋へと足を踏み入れた。
僕はベッドへと腰掛け、妃羅は丸椅子に腰を下ろす。
「話って…なに?」
若干の不信感を露に問う僕に、妃羅は戸惑うように瞳を揺らした。
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