アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
知りたくなかった
-
僕は無意識のうちに、帝斗の姿を探す。
帝斗を見つけ、声を掛けようと試みる。
でも、何を話せばいいのかわからない。
そんなコトを考えているうちに、帝斗はいつも居なくなっていた。
直ぐ傍に居るのに、触れられない。
傍に寄るコトすら、許されない。
目の前にいるのに。
触れられる距離にいるのに。
指先を伸ばすほどに、離れていく気がした。
貴方の声が、聞きたい。
貴方の温もりに、触れたい。
その声を聴きたくて。
その肌に触れたくて。
その瞳に映りたくて。
微笑んで欲しくて、愛でて欲しくて。
知らなければ良かった。
こんな想いだけ教えられて。
痛いくらいの僕の心は、どうしたら楽になるのだろう……。
溢れて零れる想いは、受け止めてはもらえず、積もってく。
腐臭を放ち、腐ってく。
ぴしりと音を立てた心は、ひび割れていく…、壊れてく。
叶わない欲望を抱いた心は、届かない感情に苛立ちすら纏い始めた。
なんで僕を突き放すの?
なんで僕を人任せにするの?
なんで僕をその手で、愛してくれないの?
帝斗は、なぜ僕に手を差し伸べたのだろう。
救うなら最後まで引き上げて欲しかった。
捨てるのなら最初から手を伸ばして欲しくはなかった。
足が泥沼に嵌まったままじゃ、中途半端に埋まった身体のままじゃ、僕は、どこにも行けやしない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
82 / 116