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今、人気沸騰中の男子高校生アイドルユニット『Blue Rose』。
圧倒的な歌唱力としなやかなダンスで人々を魅了するリーダーでありセンター、皆川葵。
愛らしいビジュアルと独自のファッションセンスで人気の鈴鹿英一。
日本人離れしたスタイルと天才的な音楽センスを誇る柳澤玲央。
優しげな歌声と飛び抜けた演技力で界隈を揺るがせた穂波優成。
いずれのメンバーも何かしらの分野に秀でた天才であり、タイプは違えど一様に美少年。トップアイドルの名に相応しい、輝かしいユニットである。
そして俺、菊田浩司は今日からそのトップアイドルユニットのメンバーになる。
「…心臓いてぇ…」
死ぬんじゃないかってくらい心臓がばっくんばっくん鳴っている。今震える足で俺が立っているのは、Blue Roseの所属事務所、『Vision』の前だ。
Blue Roseが追加メンバーを募集する、ということを発表したのは約半年前。既にその実力を遺憾無く世間に示していたBlue Roseのオーディションには全国から応募が殺到し、熱狂的なファンが自ら事務所に売り込みに来たことすらあったらしい。
俺も人並みにBlue Roseは好きだった。音楽なんてろくすっぽ分からない男子高校生にも耳触りの良い爽やかな曲が多いし、何より姉が熱烈なファンだったため彼らが出るドラマやCDが一通り家に揃っていたのだ。
新メンバー募集の情報も生活していれば耳に入ってきたが、売り方の的確な事務所だと姉から聞いていたので、まぁまた新たな天才イケメンを見つけてくるのだろう、と特に気にするでもなく過ごしていた。が、ある日俺宛に届いた封筒を見て俺はひっくり返って驚くことになる。
「まさか通ると思ってなかったよねー。ま、もしイケたら英一くんのサインもらってきて!」
人の写真を勝手に芸能事務所に送り付ける非常識な姉の無責任な言葉に頬を引き攣らせつつも、人並みに胸の内に隠していたアイドルへの憧れが捨てきれず、俺は2次オーディションを受け…3次…4次…そして…最終ステージである5次オーディションまで、なぜかすんなり通ってしまったのだ。
俺と一緒にオーディションを受けた少年は、歌も上手くダンスも綺麗で、この子に決まるだろうな、と思いながら踊り歌った…のだが。神は何を思ったか合格通知は俺に届いた。何万人の全国の少年の中から、極々平凡な俺が選ばれた理由は分からない。まぁ、分からないから今こうして震えているわけなんだが…
「…10分前」
事務所に来るよう指定された時間の10分前だ。結局20分近くたたらを踏んでいたのかと思うと、自分の臆病さに呆れる。
精一杯自分を鼓舞し、勇気を出して一歩踏み出そうとした、その時だった。
「あれ…もしかして、菊田浩司、くん?」
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