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藍ちゃんって子 1
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翌日の夏休み明けの初登校の日、
夏休み明けの特有のだるさを感じながら
学校に登校した。
登校すると、勿論俺は知っていたが、
クラス内では転校生の話でもちきりだった。
「なあなあ、日野〜」
席について騒がしい教室の中で
本を読んでいると、
友達の笹原純(ささはらじゅん)が
話しかけてきた。
「んだよ」
顔を上げると、
奴のニヤついた顔が目に入った。
「転校生って超美少女らしいぜ」
どんくらい美人なのかなぁと
うはうはしながら聞いてくる奴に
さぁなとだけ答えて流した。
「日野は楽しみじゃないのかよ、
てんこーせー」
そういう訳じゃないけどなと目を逸らした。
もう話す気は無いと伝わったのか
笹原は自分の席に戻っていった。
「はいはい、席について〜」
しばらくすると、
担任がドアをガラッと開けて
教室に入ってきた。
「みんなも知ってるみたいだけど、
うちのクラスに新たな仲間が来たよ」
さあ入って入ってと促されながら
そいつはやってきた。
騒がしい教室が一斉に息を飲むのが分かった。
白い布地のレースが散りばめられた
ワンピースが似合いすぎてるそいつ。
「はじめまして、七瀬藍華ですっ、
藍ちゃんって呼んでねっ」
満面の笑顔と愛らしいその容姿によって
その日その瞬間から
藍ちゃんのその揺るぎない姫の座は
確立された。
勿論その姫の座は
俺のクラス内で留まることはなく、
藍ちゃんは瞬く間に学校の姫となった。
女子には嫌われがちになるのではないかと
なんとなく考えていたが、
誰に対しても(俺以外)人当たりがよく、
女子も虜になるような
持ち前の仕草と愛らしさで乗り切っていった。
そんな騒がしい放課後、
藍ちゃんと帰り道が重なる為、
ほかの奴からしたら羨ましいことだろうが、
俺にとっては
ただの隣に住んでいる奴と帰るだけで
みんなのブーイングを浴びつつ、
隣を歩くことにした。
そんな状況の中、
隣を歩く藍ちゃんは、
学校にいる時の藍ちゃん
ではないように見えた。
だから、
「どうしたんだよ」
と声かけずにはいられなかった。
「別に。君には関係ない」
ぷいっとそっぽを向く藍ちゃんに
よく分からないと思うと
同時にああそうかよと投げやりになる。
「まあよかったじゃんねえの?
なんか初日から人気者になれたみたいだし?」
なんか言い返してくるのかと身構えたが、
藍ちゃんは家につくまで黙ったまんまで
何を考えているのか全く分からなかった。
みんなの前ではにこにことしているくせに
俺の前では顔を逸らしてだんまりかよと
その態度の違いにいらいらしながら
別れの挨拶を一応告げ、
藍ちゃんは返してくれなかったけど
家に戻った。
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