アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
74
-
和樹さんが乗ってきた車で家に帰る。
「祐」
「…はい」
「今回のことで色々と分かってきたけど……それでも祐は俺と暮らしたい?」
自分にとっての家族は、和樹さんだった。
目が覚めてから一人。記憶がなくなってから長く一緒に居たのは和樹さんと言っても過言ではない。実際そうなのだ。
「俺は…和樹さんと一緒がいいです」
「祐……お母さんも亡くなって、お父さんは酒と虐待に走って、祐だけが信用できるたった一人の家族だと思うんだ」
「……和樹さん?」
声をかけても話を続ける。
「俺はお兄さんと暮らすことをすすめるよ」
「なん…で?」
いきなり知らない人と暮らすなんて無理だ。
和樹さんだけが俺にとって保護者であり家族同然。
付き合って、結婚まで約束して突き放すなんてあんまりだ。
「俺だって…俺だって祐と離れるのは嫌だよ。でも、お兄さんの為にも祐の為にも。」
「…………いやです…」
「………」
ため息をつくのが聞こえる。
飽きられただろうか?
「じゃあこうしない?」
「……?」
「1ヶ月ほどお兄さんと暮らしてみる。それでも俺と暮らしたかったらお兄さんと話つけておいで」
「1ヶ月……?」
「そう。暮らしてみたらきっとお兄さんと暮らしたくなるかもしれない」
「……わかりました」
「ん、いい子」
そういって赤信号で止まると、頭を撫でてくれた。
ふと隣を見ると、真剣な面持ちで前を見据えていた。
数分して家に着くと、玄関には誠が待っていた。
「祐さん!ほんとに、本当にごめんなさい……」
「………」
「祐、誠はほんとに悪いと思ってるんだよ。でも俺が指示した事だったから…」
「本当に申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げた。
それにしても、この間のドSな誠はどこへ行ったのかと言うくらい変わっている。
「……いいよ」
「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」
「俺は…お仕置きなら和樹さんにしてほしかった……」
ボソッと呟くと、誠はクスクスと笑い、和樹さんは顔をキラキラとさせて恥ずかしくて俯いている俺の顔を覗きこんだ。
「ねぇ!祐!ほんと?今言ったのほんと!?ねぇねぇ!俺のこと大好き!?ねぇねぇねぇ!」
「うぅ~………大好きですよっ!」
しまった。
ついおもいっきり言ってしまった。
「ふふふ、嬉しいなぁ~」
そういって俺を抱き締めた。
誠はその様子を最後まで微笑ましそうにはにかみながら見ていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
75 / 187