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「その首のネックレスも俺が渡したの?」
指を指しながら問う。
「元は風哉さんが和樹さんに送ったものらしいです。……自殺の前日…和樹さんの誕生日に。風哉さんが手紙で『いつか大事な人に送ってね』って添えてたらしいんです」
指先で弄りながら言った。
涙が溢れてきて溢れそうになる。
「ちょっと自分の部屋行ってきます」
泣いている顔を見られないようにうつ向いて部屋を出ようとした。
だが、突然腕を掴まれて泣いている顔を見られてしまった。
「ッ……すみません。少し思い出しちゃっただけで…少しすれば引っ込みますよ」
ここに来た時に貰った服の袖で涙を拭う。
でも、着ている服が和樹さんから貰ったものだと気づいたとき、涙が止まらなくなってしまった。
その場でしゃがんで涙が止まるのを、嗚咽を漏らしながら待った。
「最初はね。自称彼氏なのかなーとか思ってた」
和樹さんが話し始めた。
「でも毎日お見舞いに来てくれたり、アルバムを見せながら思い出を楽しそうに語ってる祐を見たら嘘だと思えなくなってきてさ」
「………グスッ、…うぅ…ッ……」
「祐が泣いてる顔見ると心が苦しくなるんだよ。今まで病院で亡くなった人とかで泣いてる人を見たことはあったけど、なんとも思わなかったのに」
あばらがまだ痛いはずなのに、車椅子から降りてしゃがんで抱き締めてくれた。
匂いはもう和樹さんの匂いじゃないけれど、体温や抱き締める強さは何より自分が知っている。
久しぶりに抱き締められて、更に涙が止まらなくなってしまった。
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