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『吸血』
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今日の雨はとても静かに 地面を打っている。
雨は俺の心とおなじように変化するら しい。
雨を自由に降らせる、なんて大層な力 はないが 雨の強弱は俺の心に左右されると 昔緋色に言われた。
吸血鬼が特殊能力 を持つのは稀らしく、
じゃぁ 緋色にはあるのか、と 尋ねたところ綺麗な笑顔を向けられた 。
うん、怖いわー…。
俺の今日の心は穏やかなので 雨も穏やかに降ってるんだろうか。
学校へついて真っ先に俺は 式の教室へ足を運んだのだった。 まだ空白だった
式の席に腰をかけ 外を眺めていたところだ。
なんだよあいつ俺より先に出たのに
どこに道草食ってるわけ。
「そこ俺の席なんだけど。てかなんで雨 ここにいんの。」
「だって俺友達いねーもん。」
「嘘つけ。毎日女取り囲ん でるくせに。
あいつは?よく一緒にいる 絆創膏の。」
「女取り囲んでんのはお前もだろ。
・・・まぁいつものサボり癖。」
俺たちは顔はいいらしく
すれ違い様にキャーキャーと黄色い声 があがる。
まさに今も遠巻きで俺たちが話すその 姿になぜか喚いている。
不愉快なんだわ。
鼓膜が破れるんじゃないかと思うくら いの騒音。
「じゃぁ帰れば。」
「うん、相変わらず冷たいのねお前。 」
式は 俺たちの中では優秀で(緋色は別格 ね、あの人は特別だから) 吸血鬼ってイメージにぴったりの氷点下0℃の奴だ 。まぁ、吸血鬼ならぬ冷血鬼ってやつ ?あ、俺上手いこと言った。
黒髪に映える紫の赤がかった瞳に捕ら われれば動けなくなることがある。
と思っていたらばっちりとその瞳と目 があい、何かを式が呟いた。
「へ?」
聞き取れず聞き返すと今度ははっきり と聞こえた。
「お腹空いた」
「え"」
お腹空いた、
つまり
えーーまじですか。
「飲めばいーじゃん。補血剤。」
そういうときの為に俺たちは 端からはドリンク見える 補血剤を持ち歩いてる。 生きた人間の血の保冷パックみたいな ね。
「目の前に餌があるのに?」
少し首を傾げる式は
明らかに俺を食しようとしていて。
「いーやーだーお前の吸血痛いんだっ て」
「痛がってる雨の顔見ると、興奮する から」
「こっ....!ぜってーいや!!....んおっ! !」
否定する俺をお構い無しに 腕を引き席をたたせ 教室を出る。途中女達が追ってこよう としていたが 式が睨みを聞かせると女達は留まった 。おー、こわっ。
俺が抵抗しても式の腕は離れもせず、 自分の非力さを恨んでいると いつの間にかどっかの 教室へと 入り込んでいた。
「朝も飲んでないしお腹減った」
扉をしめすぐにその扉に俺を押し付け た式は俺の両手首をおさえ そう呟いた。
「お前が置いてくからだろ..いつー!! 」
ずくりと首筋に牙を立てると そのままじゅるじゅるという嫌な 吸血音が耳に届いた。
「し、き!いたっい....」
俺の非難の声も聞かずに 式は喉を鳴らし血を飲んでいた。
だんだんと力が入らなくなった俺の手 首を離した手はシャツのボタンを開け はじめ首筋を晒す。
「うあ、くすぐっんっ..?!」
素肌に冷たい式の手が触れ それが 這ってきて俺の脇腹から徐々に上えと 上がってきておもわずびくりと 体が震え上がる。
なおも吸血をやめぬ式にさすがにやば いと思い抵抗を示す
「しっ...き、もう、」
辛うじて意識を保とうとする様子を感 じ取ったのか 牙を離し
そのまま俺へと唇を近づけた。
「ふ、んんっ」
焦らすように肌の上を這う手を抑える も力が入らず。
ついで口内には生暖かいーー俺の血が 流し込まれた。
「ん、」
ごくりと嚥下したのを式が確認すると 俺の唇を一舐めしてそれを離した。
同時に壁づたいにへたりこんだ 俺にしゃがみこんだ式が
「ごめん飲みすぎたから返しといた。 」
と目前で飄々と言ってのけたこいつに 蹴りでもいれようかと足を浮かせたが 読まれたらしく 足を押さえ込まれてしまった。
「お、まえ、普通に吸えよ。そしてそ ろそろ吸血量を覚えろ。」
ギロリと睨みあげても 効果がなく
「吸いすぎても死なない、雨は。 それに悪戯したくなるんだ。本当は喰 らいたかったけど、我慢した俺に感謝 して欲しい。」
俺の乱れたシャツを指差して それ、早く直さないと俺我慢出来なく なる。
と言われたので即座に直した。お前が やったんだろ!お前が!
「だから嫌なんだよお前。」
そう、式の吸血は痛いうえにお触りつ きなんだ。
いや、ほとんどの奴等がそうなんだけ ども 式の場合はちょっと厄介で
吸血量を把握してない上 の行為なので俺に抵抗の猶予がないの だ。
質が悪い。
あー...いや
一番たち悪いのは
緋色か。 あれはもう、
ほんと。
あの人にだけは吸われたくない。
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