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『雨の父』
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「私が知っている事実を話しましょう。」
今から87年前_____
「やぁ元気?」
ひょっこり現れた窓から現れた綺麗な青い髪の
これは、所謂変わった奴、だ。
「元気も何も…君が次から次へと
仕事増やすんでしょう?」
ゆるいウェーブかかった短い金髪。雪都だ。
「しかし便利だなーお前の記憶を操る能力。」
「私は零の能力のが便利かと。好きなときに雨降らせて、好きな時に止ませるとか。神にもなったような心地でしょう。」
二人は元々関わることのない
族柄だ。
零は上級層
雪都は放浪組。
放浪組とは本来
上級の血を受け継いでいない
平凡の吸血族があたる組で
五万といるのである。
吸血鬼が本来特殊能力を
得ているのは上級吸血鬼でも稀である。
つまり放浪組の吸血鬼が能力を持つなどと本来はあり得ないのである。
「今日はやけにトゲあるねー。
更年期?」
「分かって言ってます?記憶消しますよ。」
はははっと笑う零とは
反対に雪都は真顔で手元の
文書を読んでいた。
「君でなければ手を貸したりなんてしませんよ。」
雪都に持ち込む仕事は
“記憶の削除”
人間が吸血鬼だと感づいたら
抹消するのが一族の掟だ。
だが零はそれを嫌った。
普段人間より血を頂き
バレたら殺すなどと、
我々の自己中極まりないと言った。
だからこっそり、
感づき始めた人間たちの記憶を
障害が出ないほど削除、改ざんすることを雪都に頼んでいた。
「もの好きですよね。」
「人間って、優しくて弱い生き物なんだぜ?そんな奴らを殺すなんてバチがあたんだろ。」
恐らくこの頃から既に 時雨(雨の母)と零の交際はこっそり始まっていたのだろう。
「俺さ、いずれは人間と仲良く暮らしてみたいんだよね。」
やっぱそんな日は来ないんかなーと笑う零だが
それは、上級層にいる彼には絶対に不可能なことだった。
「人間への被害は最小限に留める。それは私も納得しています。だからこそ、協力している。」
だが行いは慎重に。俺たちが繋がっていることはばれてはならない。
バレたら恐らく今まで記憶をいじって助けてきた人間が処分されかねないのだ。
「まぁなんとかうまいこと頼むよ。信頼してんぜ、雪都。」
ひらりと黒いコートを翻し窓の外へ消え去っていった。
「まったく変わった貴族様ですね。」
そう言う雪都はどこか嬉しそうだった。
___________________________
補足
人間よりも吸血鬼の月日は早く、
そして長生きな者で何千年も生きています。
人間→吸血鬼
一年→五年
十年→五十年
五年断てば一歳、という計算になります。
つまり学校を転々としなければ、
特に小学校の場合は成長の差の度合いが大きく出てきます。
雨は現在17歳なので
実際のところ
85年生きています。
式も同様。
刹
15歳なので75年
白葉
22歳なので110年
緋色
24歳なので120年
兼都
19歳なので95年
雪都
30歳なので150年
長老は258歳なので
1285年も生きていることとなる。
という計算になります。
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