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『記憶の‥‥』
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最近は晴れの日が続いた。
そんな日でも俺はやはりあの場所へと、足が向かう。だが雨は晴れではやはりここへは来ないようだった。
会えない日が2週間ほど続く。
少し寂しさを覚えた。
そんな時だ。嗅ぎ覚えのある匂いと共に
ある臭いが鼻についた。
( これは、まさか・・・・・)
嫌な予感を感じながら
そちらへと足を早めると
予想通りの光景がそこには広がっていた。
髪はぼざぼさになり
服もすでにその役割を果たしてはいない。
あからさまにわかる、
暴漢の後。
精子がそこら中に飛び散っていることから
複数人と長時間その行為が行われていたことが予想にできた。
『・・・・カス共。』眉間にしわを寄せ低い声でそう
呟く緋色の顔は般若よりも恐ろしい。
とりあえず
雨を宥めようと触れれば
小刻みに
震える身体。
『あっ…』
緋色をやっと見上げるその顔は殴られたのか
傷や青あざが目立っていた。
『ひ、いろにいさ・・・・・?なんでここに・・・・・』
ガタガタ震える身体で
ガチガチ歯を震わせながら両腕を抱え込むその姿に
久しぶり沸き起こる怒り。
『しょっちゅう、だから。もう慣れたから、ほっといて‥‥』
そうか、あの日。
この子がボロボロだったのは‥‥
雨の日は匂いが消される。だから
気づくことが出来なかった。
『‥‥君はいつもこんな目にあっていたのか。』
まだガタガタ震わせる身体に触れ
頭を人撫でし、そのまま
瞼の上に掌をのせる。
『全て忘れるといい。
何があっても今度からは俺が守ってあげる。
だから安心して今は眠りなよ。』
その言葉に誘導されるように
雨は眠りについた。
そう、全て。
記憶のコントロール。
すべての記憶をさかのぼり
雨の記憶を空っぽにした。
自分以外の、全ての記憶を。
『雨・・・・・!!』
その後彼の元にかけつけたどこかで見かけた奇抜な頭の少年を見るまでは
まさか彼が雪都の元にいるとは予想にもしなかった。
( あの子は確か・・・・・。いやまさか・・・・・な。)
そのまさかだと知ったのは次の雨の日だった。
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