アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
『制御できない』
-
緋色は自分のことは何も言わない。
それは白葉も同じだ。
最近になってからだ。緋色が自分のことを語り出したのは。
「緋色。・・・・・何をそんなに恐れてるん」
「・・・・・・・・・・」
「お前の悩みはまだあるんやろ」
伏せていた顔をあげれば
弱弱しい笑の緋色がいた。
「気づいてるんだろう・・・・・?」
「お前の口から聞きたい」
「・・・・・・・・そうだね。雨には悪いと思ってる。
でも、自分じゃどうしようもできない。」
白葉は其れを確信していた。
知っている。もう何年も一緒なのだから。
「・・・・コントロールが不安定なんだ。
俺の能力が俺の言う事を聞かない。
そのせいで雨の記憶も混在し、
不安定になつてるんだ。あの子の記憶はどこまで正しくてどこから制御されてるのかは、もう定かじゃない・・・
こんなことすべきじゃないと思ってる・・・・でもそれでも雨が傷つくような記憶は俺が管理したいんだ・・・俺が、守りたいんだ。」
それは一種依存にも似ている。
相手が傷つくとそれを消して
その子を守り安心する。
はたしてそれがその子の為か、などではない。
自己満足なのだ。
「・・・雨、いつか壊れるで。雨だけやない。・・・・・お前だってそうや。
自分で制御でけへん能力なら、使わんのが一番やで。っていってもそれに気づいたんは昨夜なんやけどな。
前からやったんか?」
「・・・・・わからないようにしてたんだけどね。
昨日はなぁ・・・・」
______________________
『この記憶・・・・・なぜ・・・・』
『なん?どないした?』
『いや・・・・・』
______________________
「あれで勘づく君はやはり恐ろしいよ。」
「誰でも気づくで普通に。動揺しよるお前の姿なんぞ滅多に見れへんからな。」
いつも冷静な緋色だからこそ勘のいい白葉に疑問を持たせるのに時間はかからなかったのだ。
嫌な生温い風が
もうじき空が雨を降らすことを知らせていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
68 / 78