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『一つの感情』
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「ん…」
なんだかとても暖かい夢を見た。
どんな夢かは覚えてないけれど
最近は夢といえば
辛いものが多かったから
久しぶりに目覚めが良い。
くるりと体を反転させると
式がまだ寝息を立てていた。
「わ、まつげながー…肌白ー」
これが女だったらなぁと
思いながら
久しぶりの式の温もりに再び
埋もれることにした。
…暖かい。
白葉とは違い
ちょうど良い温度を持ってる式。
むしろいつも触れる暖かさからか
すごく安心している自分がいたのを感じた。
「はぁ…それにしても尻が痛い。そして腰も痛い。」
「せめてお尻って言って欲しい」
「あら。」
いつの間にか式が起きたようだ。
まだ眠たげに眼をパチパチさせて
俺の腰を両腕で引き寄せてきた。
「ちょっと起きなさい。」
時刻はとうに登校時間だ。
完璧なる遅刻である。
「…おはよう雨。」
「ん。おはよう式。」
「腰、大丈夫?結構ガンガン攻めたから、ごめん…。」
なんでこうも
恥ずかしいことをサラッとこの男は…。
「大丈夫…だと思うかバカ!めちゃめちゃ痛いぞ?!お前くらいだからなあんなにがっつくの!」
「…他の奴らの話はしないで。」
おや?
式が珍しく嫉妬モードに入ってる。
「ふっ。わかったわかった。」
いいこいいことふわふわの頭を撫でるとその手首をがっちり掴まれた。
「ん?」
「…」
そのまま唇へと引き寄せられ
チュ、と短いリップ音を立てて離れた。
「よし。」
「いや、何がだよ。」
こういうところがこいつのかわいいとこなんだよな、と思う。
(俺のこと、どう思ってるんだろ…)
ふとそう思ってしまった。
思った途端に不安になった。
皆、仲良くなれば
なるほど、徐々に身体を求めるようになって。
それが自分を好きとかそういうのじゃなくて
ただ単に性欲処理として見られてるんだと
言い聞かせてきた。
俺が混血であるにも関わらず
受け入れてくれるのは
父がわりをしていた雪都さんたちや
緋色たちしかいなかったから。
見放されたく無かったから。
最初は身体が
その経験を拒んだ。
多分過去の記憶を
俺の身体が覚えていたからだろう。
でも、求めれられれば
求められるほど
俺は俺の存在意義が満たされることに
満足するようになった。
だけどいまは、
こころなしに
求められるのが怖い。
特に、式には…。
「どうかしたの、雨…?」
「ん…なんでもないよ。」
なんて、女々しいんだろうか。
俺はこの気持ちを知っている。
これは、恋愛感情だ。
でも…。
(きっと、この気持ちを知られたら
もうここには居られない。)
今のバランスを崩してしまうことになる。
だって
緋色の異常なまでの自分への
愛情は
気づいていたから。それは白葉や他の人たちと違う愛情。
俺は
一番お世話になっている
緋色の気持ちは裏切れない。傷付けたくない。
(こんな感情、知りたくなかった)
気づいてしまったら
手遅れなのに。
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