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53 《一時》
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《一時》
叱って背負うと、意外な程軽かった。
そして熱い。
「大丈夫か?
………全く12時過ぎてんだぞ?
親御さんにキチッと言わないと……」
「……えっ!!」
何だ?
急にワタワタし出した?
「落ちる!動くな!」
……ピタッと止まった。
よしよし。
「あの……!もう此処で……。」
「何言ってる、もう着いたぞ?
オートロックか……鍵は?」
「……………」
「那月?」
「…………」
下ろして正面から顔を見た。
「あの……ありがとうございました。
もう……」
俯いて小声で言う。
「ごめんなさいっ!!」
えっ!!
走って行っちまった?!
慌てて追い掛けて、角の信号の所で捕まえた。
「待て!!えっ?!」
那月が泣いてる?
何でだ?
いや、それよりも走った事でクラクラして座り込んだ!
「那月。大丈夫か?」
頷いたけど相当辛そうだ。
そんな身体なのに急に走るから……なんて言ってる場合か!
「家に俺が行くのは嫌か?」
事情はわからないがそう言う事だろう。
コクと頷く。
「じゃあ家の前まで送るから、帰れるか?」
それには首を振る。
「………今日は………帰れ……ません。」
今日は???
ああ、もう、面倒くさい!!
「乗れ!」
強引に背負う。
「……いゃ…!」
「いいから!
俺の家に行く。」
那月の抵抗してた手が止まった。
「え……?
…困ります!!
困るんです、守谷さん!」
「問答無用!」
「そんな……!」
家へと急ぐ。
しばらくして、背負われてる那月がぽつりと言った。
「あの……ただの知り合いでも……家に行く事はありますか……?」
あ?
知り合い?
ともかく……那月が震えてる。
早く家に帰らなければ。
良く考えずにいい加減に言う。
「ああ。」
「……そ……ですか……。」
那月の身体から力が抜けた。
「……那月?おい?那月?!」
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