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ネガティブという名のポジティブ29
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「それで…って、もっちー聞いてる?」
俺のベッドの上でクッションを抱きしめながら話しているのは、今や国民的スターと言っても過言ではない俺の同居人。
どうやら兼近はりんさんとお付き合いを始めたらしい。
りんさんからLINEで報告されたから知ってたけどさ。
なんなら俺はりんさんから事前に相談もされていたから。
「聞いてるよ。その後りんさんに何もされなかったんでしょ?」
YouTubeの編集をしつつ、兼近の話を聞く。
兼近は強そうに見えて案外脆い。
表の世界と裏の世界を知っていて、自分なんかが表の世界で生きてはいけない、幸せを感じてはいけないと思っている節がある。
それは過去に色んな人を傷つけてしまった事が原因だと思うけど、そんなに自分に枷を付ける必要はないんじゃないかと思う。
だって、それも含めて償ってるわけだから。
まぁ裏を知らない俺に、表や裏の世界って言われてもイマイチよく分からないけど。
今大勢のファンがいて、沢山笑わせたり元気を与えているんだから兼近は十分、表の世界に必要な人間だ。
俺や小澤、他の芸人仲間にとっても、兼近は本当に大切な存在である。
勿論りんさんにとっても。
「そうなんだよ!本当に何もされなかった。ギュッてされて頭撫でてもらって、そのまま寝ただけ」
今まで真剣な恋愛をほとんどしてこなかったらしいりんさんは、兼近を傷つけてしまわないかすごく心配していた。
兼近には付き合うまで何も言われなかったけど、兼近がりんさんのことを好きなのは見ていれば分かる。
付き合ったと兼近から報告された時はめちゃくちゃ嬉しかった。
りんさんと兼近がっていうのもそうだけど、兼近がそれを報告してくれたことが、信頼してくれてるみたいで本当に嬉しかった。
小澤も同じようなことを言って嬉しそうにしてたけど、今はもう寝てる。
小澤は朝早いから。
「りんたろーさんって下半身に正直な人じゃん?だからこそハテナがノンストップになるわけよ!もっちーはどう思う?」
兼近は、りんさんがどうして自分と付き合っているのかが分からなくて色々と考えているらしい。
いくら「好きだからじゃない?」とか「大切にしたいからでしょ」と言ったところでこの天邪鬼は信じないと思う。
「りんさんより、かねちはどうなの?」
「え?何が?」
「りんさんとのその時間、かねちは嫌だった?」
りんさんは本当に兼近を大切にしたいと思っていると思う。
兼近がりんさんを恋愛面で信用出来ない気持ちは分かる。
なんせ7股の400人だからね。
でも少しくらい信用してあげてもいいんじゃないかな、なんて、りんさんから相談を受けている俺は思ったりしちゃう。
それでも、信用して兼近が傷付くのだけは嫌だ。
いくら温厚だと言われている俺でも、りんさんのことを殴ってしまう自信しかない。
いや、その前に小澤かタローさんあたりが殴りに行くかもしれないな。
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