アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
欲しいもの2
-
りんたろーさんの家に行くと、玄関にもっちーの靴が置かれていた。
「もっちーいますね」
そう言いながらりんたろーさんを見ると苦笑いしていた。
みんな詰めが甘いな。
マネージャーさんもサラッとバラしてたし。
その後焦って誤魔化そうとしてたけど。
玄関を抜け、りんたろーさんが用意してくれたYouTube部屋に行くとクラッカーが鳴らされた。
「おめでとうございますー!」
当然そのクラッカーはもっちーが鳴らしていて、お祝いの言葉も掛けられた。
予想通り過ぎて笑ってしまう。
「靴を隠せっ!!」
思わずもっちーにツッコムと、カメラのアングルばかりに気を取られていたとのこと。
普段しっかりしてるけど、ちょっと抜けてるとこがなんとももっちーらしい。
その後はりんたろーさんが作ってくれたチーズケーキとラーメンを食べて、りんたろーさんが集めてくれた色んな人からのお祝いメッセージ動画を見た。
このメッセージ動画の存在も、泥スス大ちゃんのミスによって知っていた。
全部がグダグダで面白過ぎる。
俺って愛されてるなぁなんて思ってみたり。
りんたろーさんの手紙にも、カメラが回ってるから恥ずかしくてずっとちょけてたけど、本当は結構グッときた。
プレゼントは要らないって言ってたからケーキやラーメンを手作りしてくれたのかと思ったら、それとは別で折り畳み式のキャリーバッグをプレゼントしてくれた。
ありがたい。
でも、俺には欲しいものがある。
この自粛期間中、以前に比べて頻度は少なくなったものの、仕事柄定期的にりんたろーさんには会っている。
その度に仕方ないって分かっていながらも、りんたろーさんを見ると目で追ってしまっていた。
キスしてほしい…
勿論この時期にそんなこと出来ないのは分かってる。
でも!!
誕生日利用してキスしてもらうくらい良いんじゃないのと思ってしまう今日この頃の俺だ。
そんなことを考えながらボーッとりんたろーさんを眺めていると、急にこっちを向いたりんたろーさんと目が合った。
反射的に逸らすと、りんたろーさんは「大樹くん、なんで今目逸らしたの?」なんて言いながら、俺が座っていたソファーに腰を下ろしてきたので、思わず端に寄る。
だってさ、俺今この人とキスしたいって思ってるんだよ?
でも出来ないの分かってるからそりゃあ離れるじゃん?
それなのに俺の気も知らないで!
「なんでって…じゃあ俺のお願い聞いてくれますか?」
そう聞いてみたら
「何?言ってみ?」
なんて優しく言われたから、ダメ元で言ってみる。
「キスしたい…」
「もっちーいるよ?」
「あ、りんさん、俺もう帰るんで気にしないで下さい」
もっちーはどうやら俺の味方らしい。
これに味方も敵もないけど。
まぁ、俺がどれだけ家でりんたろーさんのことをもっちーに話しているか。
それを文句も言わずに聞いてくれるもっちーは優しいと思うし、もっちーだけじゃなく、小澤も俺の話をよく聞いてくれるから本当にありがたい。
これだからルームシェアは止められない。
俺は今まで恋愛に依存したことはないし、これからも依存するつもりはない。
こんな状況だから仕方ないってことも分かっている。
だからこそ、りんたろーさんと付き合ってからりんたろーさんとのキスが好き過ぎて、すぐに求めてしまう自分がいることに正直驚いていた。
付き合う前から俺はりんたろーさんに結構甘やかされてると思っていたけど、付き合ってからは更に桁違いで甘やかしてくれるので我儘になってしまったのかもしれない。
「いや、ほら、兼近23時50分からインスタライブするんでしょ?もっちーと一緒に帰らないと」
「するよ…」
そうだよ、するよ。
いつも応援してくれてるファンの子に向けて、アカウントにはその時だけ鍵を付けてやる予定だ。
でもそれとこれとは別、まだ時間に余裕あるし。
ダメって言われるのは分かっていたけど、りんたろーさんの目が葛藤しているように見えた。
もしかしたらしてもらえるかも、なんて思ってりんたろーさんを見つめると、溜息をついて軽い触れるだけのキスをしてくれた。
当然そんなんじゃ足りなくて
「もっと……」
と強請ったけど
「これ以上はダメ!」
と言われた。
「なんで?俺誕生日なのに…」
1回したらもう同じだ。
2回も3回も、軽いのも深いのも変わらない。
りんたろーさんから顔を逸らし、分かりやすく拗ねると
「ほんと、キス好きだよね」
困ったような表情をしながら頭を撫でてくれた。
これも好き。
すごく心地が良くて幸せな気持ちになる。
「好きですよ、俺りんたろーさんに愛されてるんだなって実感出来ますからね」
「えっ?」
「ん?まぁ、単純に俺がりんたろーさんのこと好きだからってのもあると思いますけど」
「えっ?」
「さっきからどこに引っかかってるんすか?」
りんたろーさんが何故そんなに驚いているのかよく分からなくて、俺の方がハテナがノンストップ状態。
「はぁ……」
さっきよりも深い溜息をつかれ、俺の今の発言が重かったんだと気付く。
もしくは我儘過ぎてさすがに怒ったかも、なんて思ってりんたろーさんを見ると、唇が重ねられ、頭を抑えられた。
そのまま離されることなく口付けは深くなっていく。
重かったんじゃないの?
なんて思ってることが重いか。
やっぱ恋愛は俺にはまだむじぃ。
いや、もう29だろって話なんだけど。
溜息がどういう意味をもつのか気になるけど、そんなこと考えられないくらい気持ちよくて幸せなキスだ。
やっぱり俺は愛されてる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
38 / 55