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「今日のライブも、皆お疲れ様」
「それじゃ…カンパーイ!」
智早と弥斗が乾杯の音頭を取ると四人は各々の注文した飲み物のグラスをカツンと触れ合わせた。
弥斗と悠治が張り合うように酎ハイを飲み干していく中、智早はノンアルコールビールで口を湿らせながら恵愛の様子を横目で伺う。
恵愛はまだ未成年の為、烏龍茶をストローでゆっくりと飲みながら、何処かぼんやりとしているように見えた。
「恵愛、大丈夫?疲れたか?」
肩を叩いて熟れた様子で手を動かすと、恵愛は柔らかく笑って首を横に振る。
「大丈夫だよ、ちーちゃん。ちゃんと聞こえてるよ」
その口から発せられた声は小さいが良く通るテノールで、ステージ上で力強い歌声を響かせる彼とは似ても似つかない。
そんな恵愛を見て早々にグラスを空にした弥斗が向かい側に座る恵愛の方へ身を乗り出した。
「ねぇねぇ鈴ちゃん、今日は俺ん家泊まっていきなよー。いつも智早ばっかりでずるいと思うんだよね」
「は?お前はダメだ。酒が入ったお前が恵愛を襲いでもしたら笑いごとじゃない。お前ん家に連れてくくらいなら俺が連れて帰る」
そう言って真顔で酎ハイを煽る悠治に弥斗は分かりやすく怒りを露わにする。
「はぁぁ??ユウちゃんだっていう程お酒強くないだろ!」
「少なくともお前よりは強いし、お前より酒癖も悪くない。あと、そもそも俺はそんなに飲まない」
「この前ベロンベロンに酔って俺ん家に押しかけてきたくせによく言うよ!あと!熟年夫婦じゃないんだからお前お前って呼ばないで!」
「…二人とも」
碌でもない話であるうえ、恵愛の前で判別がしにくい声で騒々しくするのはやめて欲しいと思いながら智早は溜息をついた。
然し恵愛は二人の表情を見て、いつものことかと可笑しそうにクスクスと笑っている。
「恵愛、二人が何言ってるのか分かる?」
「あんまりわかんない。でも、大体予想はつくかな。弥斗と悠治君はいつも仲良しだから」
「喧嘩ばっかりでこっちはうんざりだけどな」
「でも、喧嘩するほど仲がいいって言うでしょ?」
「それにしたってしすぎだよ。呼吸をするように喧嘩するんだから、あいつらは」
智早は恵愛が聞き取れるスピードでゆっくりと穏やかに喋っているものの、二人に対する呆れの感情はハッキリと声に表れていた。
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