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梅山さん⑥
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「僕さぁ、大谷君に告白しようと思ってるんだけど、どう思う?」
そう莉紅様に相談されたのは、夏休みの中頃の事だった。
二人きりでの調教後、私は疲れてたから全裸でベッドで横になっていたら、縄や鞭や蝋燭等の道具を片付けていた莉紅様が珍しく弱気な顔で話しかけてきた。
最近あんまり元気なくて心配していたら、大谷の事で頭を悩ませていたらしい。
「別にいいんじゃないの?」
「あっさりだなぁ」
「私関係ないもん。あ、でもそれって皆との愛人契約を破棄するって事?」
「それも悩みの種……そもそも夏希は僕の事好きじゃなかったでしょ?」
「うん。今もご主人様だとは思ってるけど、恋愛感情はないよ」
隠しても仕方ないから素直に頷く。だって、最初の印象って教室で輪姦されてる哀れな男の子ってだけだったし。
今は、私のまだ開けていなかった性嗜好を開いてくれたご主人様だしなぁ。葵唯君に向けるような感情は一切ないって言いきれる。
「もし葵唯と付き合うってなったら、僕の愛人じゃなくなっても良いと思ってる?」
「そうだね。私は葵唯君とイチャイチャしたいから莉紅様の愛人になった。もし、葵唯君が私だけを見てくれるなら、正直莉紅様は邪魔かな。
あ、でもご主人様としては莉紅様はいてくれなきゃ嫌だと思うよ」
「ストレート過ぎるよ。ちょっと傷付いた」
「意外とメンタル弱いよね」
「そんなもんだよ。葵唯と付き合ったら僕邪魔になるでしょ? SMプレイは出来なくなるけどいいの?」
「仕方ないよ。どちらかを選ばなければならないとしたら……私は葵唯君を選びます」
「分かった。近々皆に報告する」
「うん」
あれから半月も経たない内に莉紅様は答えを出てきた。
夏休みもあと一週間くらいで終わるっていう時だった。
私と葵唯君、和秋ことアッキーと莉紅様、いつもの永瀬家だけど、ヤリ部屋じゃなくてリビングでティータイムを過ごしていた時。
「ね、皆話があるんだけどいいかな?」
と、莉紅様が切り出した。
報告かな、結構早いなとか思ってた。
「皆にはそれぞれ話したけど、僕に好きな人が出来ました。ご存知の通り、大谷君です。
和秋の言う通り、僕は緑を理由に過去に縛られるのは終わりにしようと思った」
アッキーが何か言ったのかな。ぼーっとしているけど、この中で一番莉紅様の事を好きなのはアッキーだ。
「私は賛成するって言ったわ。アッキーはそれでいいの?」
「うん。もし大谷君が許してくれるなら、俺だけ愛人のままにしてくれるって」
アッキーは迷わずに頷いた。
葵唯君に振られ続けてる私が言える事じゃないけど、それって好きな人の一番にはなれないって確定したようなもの。
私だったら嫌だな。だって、誰にも言ってないけど、私は期限を決めてるんだ。
高校を卒業するまでに葵唯君を振り向かせられなかったら、完全に諦めるって……──。
「いいの? このまま大谷を受け入れたら、莉紅様の一番にはなれないんだよ?」
「そんなの最初から一番にはなれないし、二番目でも三番目でも、莉紅が俺の事見てくれるなら。
それに、俺だって莉紅以上に大事なものがある。だから大丈夫」
アッキーはいつの間にか男の顔をしていた。望む未来があるんだね。
けど、葵唯君はなんだか──微妙な顔をしている。
まぁずっと愛人だったしね、寂しいのかもしれない。
短い間だったけど、楽しかったなぁ。
莉紅様のせいで本当の性癖に気付いたし。元々は一人で露出プレイしてたけど、あれくらいじゃもう興奮出来なくなっちゃった。
「あのさ……もし大谷がアッキーを受け入れなかったら?」
私が気になっている事はそれだった。皆愛人関係終わって、大谷が拒否したらまた愛人関係に戻れるの?
私は今のこの関係が好きだから、本当は終わらせたくないと思ってる。
「もし大谷君が和秋を拒んだ場合は、僕は皆を選ぶよ。その時は愛人関係は全員続行でもいいかな?」
莉紅様の問いに全員が頷いた。
これで夏休み明け、莉紅様が大谷に告白をするという話になった。
始業式の日。
「ひっさしぶり! 夏休みどうだった? どこか遊びに行った?」
「あ……うん。まぁ……」
嫌そうな顔してるミカリンに声を掛けて、会話を続けていた。
ミカリンは高校入ってすぐに仲良くなった友達。でも、私が莉紅様達とつるむ様になってから私を無視するようになった。どうやら私が葵唯君達と一緒に莉紅様を虐めてるって思ったみたい。
もう友達は要らないと思ったけど、女子の友達がいないのも不便っちゃ不便。利用するようで悪いけど、女同士の友情なんてそんなものでしょ?
お互い利用し合ってるのよ、ミカリンも私を利用すればいいと思ってる。
「歯切れ悪いぞ?」
「あのさ、私に話しかけないでくれる?」
「なんで?」
「なんでって……分かるでしょ? 自分の胸に手を当ててみたら?」
絶対嫌。乳房のない自分の胸なんて触るだけで凹むし。女子の言わなくても分かってよ的な態度も苦手。
「分からないなぁ。私はミカリンに何も悪い事してないもの。知らない内に何かしてしまったなら教えて欲しいわ」
「じゃあ言うけど、友達なのになんで何も教えてくれないの?
知らない内に小倉達の仲間になってるし、夏希も不良になっちゃったの?」
ミカリンは少し泣きそうな顔してた。
……前言撤回。ミカリンは利用し利用されるような関係じゃない。友達だった。私は今も友達でいたいと思ってる。
「それが色々事情があってね。簡単に話せる内容じゃないんだ。
話長くなるけど放課後ちょっといいかな? 私はミカリンの事信用して話すからね」
「うん」
ミカリンを信用する事にした。
高校生活、友達がいないとかなり厳しいものになる。莉紅様の愛人でなくなれば、私は一人も同然。葵唯君と付き合えるとも分からないんだし、自分の生活を見直すのは当たり前の事だよね。
放課後はミカリンと一緒に帰る事にした。他の友達からこっそり聞いたけど、ミカリンさえ許してくれれば元のグループに戻れるみたい。
グループのリーダー的存在は元々私だったんだけど、ハブられてからはミカリンが仕切ってるみたいだしね。
私とミカリンは学校近くのカフェに寄り道をした。
お互いアイスティーを頼んで、テーブルを挟んで話をする事になった。
「それで? 夏希の事情って何?」
「まず、莉紅様……永瀬君へのイジメはイジメじゃなかったの」
「それ!」
「えっ?」
「永瀬のイジメとかどうでもいいよ。その莉紅様って何?」
ミカリンは正義感の強い子で、私が莉紅様イジメに加担してるって思われた為に嫌われたのかと思っていたけど、違ったの?
「実はね……」
私は全てをミカリンに話してしまった。私が実は男だという事実以外を。
莉紅様がイジメを受けないように葵唯君が守っている事、百合川達が協力していた事。
莉紅様と葵唯君の関係、私が葵唯君を好きになった為に莉紅様の愛人になった事。
その流れで私がドMになった事。
ミカリンなら大丈夫だと確信めいたものを感じた。
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