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番外編~山野辺君のその後~
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※梅山さん⑧の途中の話です。因みに、山野辺君は梅山さんの性別知りません。
ガーーーーン!!
梅山さんが……女の子を連れて家に入っていってしまった。
今日は耳にピアスを入れてもらおうと思ったんだ。
ちょっと高めのビデオカメラも買って、ここに梅山さんの姿を写そうと思って、彼女の家の前の電柱の陰に隠れた。
視界に入った彼女を写していたら……なんだ? 見た事のない女が横に並んで歩いている。
しかも俺に気付くと、梅山さんにしがみついた。いいよないいよな、女ってだけで梅山さんにくっつけるんだから。
「ねぇ、なんか不審者いるよ? 警察呼ぶ?」
呼びたきゃ呼べよ。こちとら補導されるのなんて慣れてるんだからな!
「いいよ、たまに出現するレアポケ〇ンみたいなものだから。気にしないで」
酷っ!!
「もしかして知り合い?」
「えっと、近所の人。無害だから大丈夫」
酷い酷い酷い酷い。モンスター扱いな上に近所の人とか!
もうなんなんだよ〜。
今日はピアスもだけど、報告があって来たのに。
まぁまた後で行くか。梅山さん、俺に目を向けてたの、多分後にしろって事だと思うし。
夕方になってから、また梅山さんの家に戻った。今度は普通にチャイムを押す。ピンポーンという音を聞くとなんかソワソワするのはなんだろう。
「はい?」
梅山さんのお母さんの声だ。
「あ、山野辺です」
「はーい」
すぐにドアが開けられ、お母さんが手招きした。
「ごめんなさいね、あの子永瀬君の家に行っているの。部屋で待っていてもらえる?」
「はい」
にこにことした梅山さんより美人で、グラマーな女性だ。肩まである髪はハーフアップにしていて、平凡っぽく見えるけど、身体がエロ本に出てくる人妻そのもの。
梅山さんは出るところ出てないし、お父さん似なのかも。
お母さんは梅山さんが心配じゃないのかな? 男友達の方が多い気がするし、部屋に俺を上げちゃうなんて。
危機管理能力がないように思える。
二階の梅山さんの部屋に入って、クッションに座って待っていると、お母さんが麦茶を持ってきてローテーブルに置いてくれた。
「そろそろ帰ると思うわ」
ニッコリ笑うと、部屋から出ていってしまった。
マジかよ、女子高生の部屋に一人。ホラ、男なんか一人にさせるから。下着とか見ちゃうぞ〜。
って、タンスの引き出しを出したり閉めたり。ブラとショーツが出てきた。サイズちっさ。可愛い。
バレたら怖いかな。怒ると男みたいな低い声で脅してくるし……。
「ただいまー!」
やばっ、帰ってきた。一階から梅山さんの声がここまで響いてきた。俺はそっと部屋のドアを開いた。
吹き抜けになっているせいか、一階の声が鮮明に聞こえる。
「ママァ、誰か来てるの?」
「山野辺君よ。あなたの部屋にお通ししたから」
「はぁ? 可愛い女の子が不在の部屋になんで男子入れるのよぉ?」
梅山さん……自分の事可愛い女の子とか言っちゃうんだ。外じゃしっかり者っぽく見えるのになぁ──
「あんた男なんだから、問題ないでしょ」
──はい!?
男? いや、聞き間違いだ。絶対そう、何か別の言葉と聞き間違えたんだ。
「男じゃないもんっ! 可愛い女の子だから男の子が放っておかないの、私の下着とか見られたらどうするのよ!?」
「男に男友達が何人かいるのは、普通の事です」
「なんで認めてくれないのぉっ!? 私女の子なんですけど! 可愛い女の子だって認めてよ!」
「私は娘を産んだ覚えはありません!!」
「ママのばかぁっ」
ダダダダッと階段を駆け上がる音が聞こえて、俺は焦ってクッションに座った。
部屋に入ってきた梅山さんは、下でお母さんと喧嘩してたなんて痕跡を一切残さない笑顔だ。
「山野辺君、いらっしゃい」
「あ、お、お、お邪魔してます」
「お昼はごめんねぇ。あの子ミカリンっていって、クラスのお友達なの」
「へぇ、そうなんだ?」
「うん。そういえば、山野辺君は編入試験どうだった?」
言われて思い出す。そうだ、今日はその結果を伝えに梅山さんに会いに来たんだ。
結局、家の近くの偏差値そこそこの高校に入る事になって。梅山さんには編入試験合格したら次のピアスね、と言われていた。
忙しくて梅山さんに報告に行けずに、とうとう二学期入ってからになってしまった。
メールとか電話で報告しても良かったんだけど、直接顔を見て言って、ピアスを付けてもらいたかった。
「ご、合格したよ。もう今日から学校通ってる」
「うんうん。当たり前だよねぇ」
「試験落ちるって思わなかったの?」
「元々覚えも早いし、理解力あるし、中学の時成績悪かったのは勉強してなかっただけだよ。頑張ればあれくらいの試験誰でも受かるわ」
進学校に通ってる人は言う事が違うなぁ。ちらっと進学校の制服を見た。
なんか賢そうなブレザーの制服。下スカートなんだよなぁ。本当に男なの?
「なによ、じろじろと。エッチ!」
「ごめん」
「クラスの女の子の足、そうやって見てたら嫌われるからね〜」
「見ねぇよ!」
「どうだか」
なんだこれ。女子との会話以外の何ものでもないのに。男って聞いても、その話の方が嘘のような。
ハッ! ドッキリか? わざとさっきの会話、俺に聞こえるように話して、俺がどんな反応するのか試しているのか?
「山野辺君、なんか今日変だよ? どうしたの?」
でもドッキリじゃなかったら……?
「あ、あのさ! さっき、梅山さんのお母さんとの会話聞こえたんだけど……男、じゃないよな?」
それを聞いた途端、梅山さんは分かりやすく傷付いた顔をした。それが段々怒りの顔に変わって頬が赤くなる。
「なんで……山野辺君は、私が女じゃなかったらどう思うの?」
「えっ」
「関係ないでしょ? セックスするわけじゃないし、私は私よ。あなたにピアス付けてあげるのに、私の胸や下半身が関係ある?」
不機嫌だ。その態度は女性のものでしかなく、男なら不機嫌になってもそんな顔はしない。
だから、やっぱり……──。
「わりぃけど、関係ある」
「なんでよっ」
「俺、梅山さんに惚れたんだ。女の子がなんの戸惑いもなく俺のチンコにピアス付けてさ。
それなのに君は綺麗で。お前に恋したんだ。
いつか永瀬の愛人じゃなくなったら、俺のモノにできるカモって、一縷の望みをかけた」
「そうだったの」
「でも、お前が男だなんて、嘘だよな?」
お願いだ、嘘だと言って欲しい。
「……莉紅様を好きだった時は、男でも大丈夫だったのに?」
「お前を好きになって、やっぱり女の子が良いって思った」
梅山さんがジャケットを脱いだ。胸元のリボンも外して、ワイシャツ、スカートを脱いでいく。
さっきは気付かなかったけど、ショーツは男のモノを納められる形状になっていて、ブラは詰め物で膨らんでいた。
それら全てを脱いでしまった彼女は、恥ずかしげもなく裸体を見せてくる。
真っ平らな胸、女性には付いていない男の象徴。
期待していたものとは真逆なものに、残念な気持ちでいっぱいになった。
「私は女の子だよ、身体は男かもしれないけど。莉紅様と葵唯君、あとアッキーも。この私の身体を見ても尚、私を可愛い女性だって、可憐な女性だって言ってくれるのよ。
あなたはどう思うの?」
「正直言っていいのか? 傷付けると思うけど」
「嘘つかないで、その方が傷付く」
「悪いけど、男の身体に女の顔が付いてて違和感しかない」
スッと梅山さんの顔が無表情へと変わっていく。
「そう。なら帰ってもらえる?」
「分かった。気を悪くさせてごめん」
立ち上がって帰る支度をする。何も考えられない。
「別に。あ、あと。知ってるだろうけど。もし私が女性でも、他に好きな人がいるからあなたとは有り得ないわ」
「だよな。ごめん……」
「私が付けたピアス、取っていいよ」
「ああ、そうするよ」
変な趣味だけ植え付けさせた女は、実は男で俺に二度目の失恋を経験させた。
外は心地良い風が吹いているのに、俺の心はズタボロだ。
「はぁ……」
高校で彼女作ろ。いつか忘れられるだろうか、俺の身体と心に傷を残した女性の事を……。
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